私達は様々な人々と協力しながら、“こと”を進めています。その協力の在り方を説いているのが第六の習慣「相乗効果を発揮する」です。この習慣は人と人との違いに価値をおき、その違いを活かし合って更に素晴らしい第三案を創出する、という考え方です。良好な人間関係の構築に大きく影響する習慣であり、理想的な状態をもたらしてくれる原理原則です。
第四の習慣「Win−Winを考える」では、お互いの利益を考えるという心構えを学びました。そして
第五の習慣「理解してから理解される」では、先ずは相手のことを充分理解してから、その後に自分も理解されるという、信頼関係作りに大切なコミュニケーション方法も学びました。コミュニケーションが深まると、次第にお互いの違いが見えてきます。その違いを活かし合うのが
第六の習慣「相乗効果を発揮する」です。
協力して“こと”を進めなければならない時、実は全くお互いの考え方が違うと解りました。さてその時、あなたはどうしますか?
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あなたとは考えが合わないね。残念だけど仕方ない、協力するのは難しいね。
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あなたは全く違った考え方をするんだね。面白いね。それだったらお互いの違いを活かし、協力し合って、もっと素晴らしいものを生み出そうよ。
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この 2. が第六の習慣「相乗効果を発揮する」を実践する為の基本的な考え方です。
しかし、どうしても自分と違う考えの人を私達は避けてしまいがちです・・・1. のように。
何故でしょうか?
それは・・・、自分の価値観に合わない意見を受け入れることは、恐怖感に襲われたり心の痛みを伴うからです。また、違った価値観を受け入れるということは、自己否定や一旦自分の価値観を捨てなければならないからです。
しかしながら、どうしても協力しなければならない時は「じゃあ、この辺で手を打とうや・・・」と、“こと”を丸く収めようとします。これは協力から生まれた成果ではなく「妥協」の産物でしかありません。お互いの共通部分だけに注目し、無難な線で片付けているだけです。この状態は1+1=1以下、あるいは0.5かもしれません。勿体無いことです。シナジー(相乗効果)を生み出すどころか、マイナスシナジーそのものです。そしてお互いに探りあったり納得させようとしたり、無駄なエネルギーも浪費することになります。(図1)
では、2.はどうでしょうか?お互いの重なる部分ではなく、むしろ異なる部分に注目し、価値をおいて、お互いの違いを活かし合うという考え方です。一人では不可能なことが、協力し合うことでもっと大きなものを生み出すことができます。それは1+1=3以上あるいは100へと、可能性は無限大です。(図2)
【プロジェクトが発足された時】
あなたはプロジェクトリーダーです。そしてプロジェクトメンバー5人を自由に集めていいそうです。
さて、どんな人を選びますか?
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自分の意見には、何でもかんでも“YES”と従ってくれる人。
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自分とは気が合いそうもない。でも自分とは全く違う“ものの見方・考え方”をする人。
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1.や2.のプロジェクトミーティングではどんな意見が上がってくるでしょうか?似通った人ばかりの議論は、似通ったアイディアしかでてきません。つまりこういった集団の成果は“金太郎アメ100個、何ぼ!?”の世界です。無難にプロジェクトは進むかもしれませんが、大したのも作れなさそう、それより何より、とっても退屈そうです(*_*);。
しかし・・・、そうかと言って自分に合わないメンバーを入れると、チームリーダーとしてコントロール可能な領域が狭まってしまう、時にはその人が邪魔な存在になるかもしれない・・・、だから出来れば加えたくない、そのように考えることもあるでしょう。
3.のプロジェクトはどうでしょうか?個性豊かな人が集まったミーティングでは、ありとあらゆる視点から物事を捉えることができ、パラダイム転換の宝庫かもしれません。しかしここで最も重要なのは、異なる意見を受け入れられるだけの心に余裕が無ければ駄目です。つまり自分軸をしっかり持ち、自立していなければ他人の意見を受け入れることはできないのです。
【病院の中のシナジー】
臨床検査室は今まで閉ざされた一室!?というパラダイムではなかったでしょうか?一種独特の世界がそこには存在していたのではないでしょうか?最近は採血室に検査技師さんが常駐し、素早く検査結果を患者さんに提示できる病院もあるそうですね。これも組織間連携、組織シナジーで患者さんの満足を高めるものです。そしてチーム医療はまさにシナジーですね。チーム医療が上手く回ることはまさにCUREからCAREではないでしょうか?
【人生はシナジーそのもの!】
人生という長い道程は、人と人との係わり合いの連続です。私も公私を通じてたくさんの方と出会いました。でも、いつの間にか連絡もしなくなった人、、、何人位いるかしら?63億分の1の出会いだったのに、とても勿体無い、と思います。でもそういった方でも、“Weak Ties”(1973:マーク・グラノベッター)として、大事に心に留めておきたいものです。
いつも私が心掛けていることは、私を取巻く人々を大切にすることです。大切にするといっても、特別何かをするわけではありません。私の心の中に、その人たちに住んでもらっているのです。それは逆に考えると、きっとその人たちの心の中にも、私を住まわせてもらいたいからです。
自分を思ってくれる人が多ければ多いほど、幸せではないでしょうか?
どれくらいの人が自分を住まわしてくれているか、どれくらいの人を自分の心の中に住まわせることが出来るか・・・。
たった一度きりの自分の人生です。だからこそたくさんの人々とコラボレーションしながら人生のシナジーを創り出し、生を活かしていきたいです。QOLは一人で手にすることはできないのですから・・・。