第六回
  第二の習慣「目的を持って始める」
      ―ミッション編―
企 画 社団法人千葉県臨床検査技師会
協 力
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDソリューションBU コヴィーグループ

 人生に何かを期待するのではなく、人生から何を期待されているかに目を転じるべきである。

Stephen R. Covey

人生は、大海原での航海に例えることが出来ます。

 あなたの人生という名の船は?
他人の船に乗せてもらっているのでしょうか?あるいは自分の船でも、誰かに漕いでもらっているのでしょうか?
前回の第一の習慣「主体性を発揮する」では、日常の様々な刺激に対して反応的にならずに、自ら選択・行動し、自己責任のもと結果を生み出すことが真の主体性だとお伝えしました。では長い人生における自己の主体性とは・・・?それは人生という名の大海原を他人の船ではなく自分の船で、且つ自力で漕ぎ進んでいくこと、ではないでしょうか?

 あなたの人生の船、、、行き着く港は?
その船は、どこの港に向かっていますか?
目的地は、はっきりと決まっていますか?
それを考えるのが第二の習慣「目的を持って始める」です。つまり自分の船なのに目的地も決めずに、ただひたすらに、がむしゃらに漕ぎ続けていたらどうなるでしょうか?人生の終焉を迎えた時、最後の最後にこんな筈じゃなかったと嘆いても、“時、既に遅し”です。梯子の掛け違いに気付いたところで過去には戻れないのです。

 物は二度作られる
 
第一の創造=知的創造

第二の創造=物的創造
 さて、ここでちょっと、ご自分の家を建てることを想像してください。最初に何をしますか?お金も、土地も既に揃っているとしたら・・・。先ず初めに設計図を引くのではないでしょうか?間取りは、窓の大きさは、ドアの位置は、そしてドアノブはこんな形、照明は優しい間接照明も取り入れよう・・・などなどと。それが第一の創造=知的創造です。そして実際に家を建てることが、第二の創造=物的創造です。ここで鍵になるのが、第一の創造で知的に描いた設計図の質で、家の出来上がり具合を大きく左右します。設計図に落ち度があったら、途中で仕様変更しなければならなくなるかもしれません。すると無駄な時間や費用も充てなくてはなりません。望む結果を手に入れたいのなら、知的創造をしっかり行なうことです。

 人生の知的創造は?
 ところで皆さん、ご自身の人生の設計図・・・引いて、生を活かしていますか?漠然と、ただ“何となくこうなればいいな”、“おそらくこうなるだろう”、と思っていらっしゃる方が大半ではないでしょうか?でも、それは成り行き任せとも言えます。大海原で嵐に遭い、彷徨っている流木と同じです。

 そこで是非人生の第一の創造【知的創造】を行なってみて下さい。自分はどんな人生を送りたいのか、何を大切にして、何を手にしたいのか、自分の心に問い掛けてみたら如何でしょうか?「7つの習慣」研修では、自分のお葬式をイメージしてもらいます。そして参列者の中で生前お世話になった人々から、もちろん家族からも、どんな弔辞を言ってもらいたいか、考えます。言ってもらいたいことが、本人の在りたい姿なのです。どんな功労者だったか、人に対してどんな風に接してくれた人だったか・・・などなど。そこから自分の在りたい姿が見えてくるのです。その在りたい姿が“ミッションステートメント”です。組織に置き換えれば企業理念にあたるものです。
 大事な自分の人生です。日々様々な出来事が押し寄せ、出来事にコントロールされる大海の流木ではなく、行き着く港を明確に表したミッションステートメントを自分の軸にして、航海してください。ミッションステートメントは内発的な力が齎されます。人生の目的が明確になれば、日々の行動も変わり、更に精神的なゆとりも生まれ、人との関係もより良いものへと変わっていくことでしょう。
 家は資金があれば一生のうち、何度でも建て替えは可能です。でも、人生はたった一回です。建て替えは出来ないのです。
 皆さんは毎日毎日、職場でも家庭でも数多くの結果を生み出していることでしょう。でも、その第二の創造=物的創造だけに追われてしまってはいませんか?

 自分はJリーガーになる!
 私の甥は中学3年生で“たか”と言います。彼は幼稚園時代からサッカークラブに所属しサッカー三昧で成長してきました。今でもクラブチームに所属し、ほぼ毎日学校から帰ると直ぐに着替えてチームの練習に出かけて行きます。自転車で駅まで走り、電車を乗り継ぎ、更にグランドまで歩き・・・。ヘトヘトになり帰宅する時間は毎晩11時。更に土日も遠征試合やら練習とやらで、まさにサッカー中心の生活です。そんな彼は中学3年生、高校進学を目前にしている受験生でもあるのです。しかし彼の目標はJリーガー!だから志望校はサッカーの強い高校。そこでもっともっとサッカーの実力を上げたいようです。ひょっとしたらサッカー推薦で志望校への入学も可能かも知れません。しかしそれは依存的。ということで、毎朝6時に起床して受験勉強もしているようです。自分で自分の夢を描き、目的意識を持って14歳の少年が日々生を活かしている姿を見ていると、夢を叶えさせてあげたいと思います。
 目的も夢も描かず、語らずで愚痴や不平不満ばかり言っている大人たちが多いように思います。そんな大人に限って「いまどきの子供は・・・」と言うのです。大人たちも今一度自分の立ち位置を見つめ、在りたい姿を明確にし、己の人生を立てるようにならないといけないなぁ〜って、叔母の私は思うのでした。

 家族のミッションステートメント
 ミッションステートメントは何も個人に限ったものではありません。ご夫婦あるいは家族のミッションステートメントを作った方もいらっしゃいますが、それを作ったご主人から伺ったエピソードです。
 ある夕食時に、些細なことで夫婦喧嘩が始まっちゃったそうです。その真っ最中に、小学校のお子さんが冷蔵庫に張ってある家族のミッションステートメントを指差して「僕のおうちはこれを大切にするんだよね」とひと言。ご夫婦は冷蔵庫の張り紙に目をやった後に、お子さんに向かって「そうだったね、“いつも笑っている我が家”だったね」とご主人。そして奥様も冷蔵庫の張り紙を声に出して読み上げたそうです。そして夫婦喧嘩は終了のゴング!だったそうです。

 ミッションステートメントの作成手引き(!?)なるものをお教えします。ご興味のある方はE-mailにてどうぞ!

  -------この内容は、フランクリン・コヴィー・ジャパン「7つの習慣」トレーニングプログラムに基づいて表現しています-------


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