左室の内径/壁厚比からみた心機能評価
−僧帽弁閉鎖不全症における検討−
○吉田 有紀 上村 明好 中野 英貴
石原 雄一 幡野 薫(小張総合病院)
【はじめに】
僧帽弁閉鎖不全症(以下MR)は、左室容量負荷疾患であり代償期が破綻することによって心不全に陥る。今回我々は左室壁に加わる力(壁応力)に着目し、MRにおける壁応力と心機能との関係について検討したので報告する。
【対象】
平成7年7月から平成12年6月までに心エコ−検査を施行し、中等度以上のMRと診断され、経過が追えた4症例を含む20症例を対象とした。尚、冠動脈疾患及び圧負荷疾患の既往がある症例は除外した。
【方法】
壁応力の指標として、左室長軸断層の左室拡張末期径と左室拡張末期壁厚(中隔+後壁)の計測値から内径/壁厚比を算出し、心機能正常群と心機能低下群を比較検討した。
【結果】
内径/壁厚比は、心機能正常群で2.37±0.31、心機能低下群で3.39±0.28を示し心機能低下群が有意に高値であった(p<0.01)。又、経過が追えた4症例においても心機能正常時に2.43±0.30と低値であった内径/壁厚比が心機能低下時に3.33±0.15へと推移し同様の傾向がみられた。
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