第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15
当院における運動負荷試験の現状分析
○亀田美広 郷間薫 高久定夫 中村とも子 早乙女正男 荒木俊光 *野間重孝
(済生会宇都宮病院中央検査部 *同循環器科)
冠動脈造影、インターベンションの普及により運動負荷試験の臨床における役割が変化した。今回我々は当院における運動負荷試験の成績、臨床的位置付けの現状を検討した。
【対象と方法】
1999年1月〜2000年2月にトレッドミル運動負荷試験(ETT)を施行した1334例中、冠動脈造影を施行しえた164例(男性114例、女性50例、年齢61.9±9.4才)を対象とし、ETTの施行時期と施行目的、診断精度、各パラメーター(ST低下時、最大運動時の時間、段階、心拍数、収縮期血圧、ST偏位時間)の有用性を検討した。
【結果】
ETT施行後冠動脈疾患疑診例を対象とした冠動脈造影例58%、冠動脈疾患既往例の予後リスク評価例42%(うち冠血管インターベンション例61%)であった。月別推移では予後リスク評価例の割合が増加傾向を示した。男性で感度61%、特異度65%、女性で感度53%、特異度46%であった。ETT陽性83例において有意病変が認められたもの48例(年齢64.1±7.8才、罹患率男性71%、女性29%)、認められなかったもの35例(年齢61.4±8.8才)であり、正診率は年齢で差がなかったが、男性が女性に比し高値であった。有意病変有群で有意病変無群に比し全パラメーターが有意差を示した。罹患枝数別比較では3枝病変で2枝病変に比しST低下開始時、最大運動時の時間、段階が低値であったが、2枝病変1枝病変間では差がなかった。LAD病変ではRCA、LCX病変に比しST低下開始時、最大運動時の心拍数、収縮期血圧が低値であったが、RCA、LCX病変間では差がなかった。
【結論】
現在、当院におけるETT施行目的は冠動脈疾患患者のリスク程度の判定、リハビリテーション-プロトコール、再狭窄の存在を検出するためへと変化した。ETTの予後予測と診断特性に対する各パラメーターの有用性に関し示唆を得た。
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