血液培養からのLegionella pneumophila検出例
○ 福永昌子 齋藤郁子 里村秀行 佐藤洋子
(千葉県がんセンタ− 臨床検査部)
【症例】
67歳、男性。骨髄異形成症候群。ステロイド剤(プレドニン5〜20mg/日)を長期投与中であった。平成12年4月23日頃より発熱を認め、呼吸困難および下肢の脱力等が徐々に増強し、同月26日受診した。WBC・CRPが高値、体温40.4℃、胸部X線写真にて右下肺野に浸潤影を認め緊急入院となった。
【細菌検査所見】
入院時の血液培養で8日目にグラム陰性桿菌を認めた。5%羊血液寒天・BTB寒天にて好気培養、BHK寒天にて嫌気培養、HK半流動培地にて増菌培養を行ったが、いずれも陰性であった。このことから、発育条件の厳しい菌を考え、各種培養を行ったところ、WYO-α寒天にレジオネラを疑う特有なコロニ−の発育を認めた。千葉県衛生研究所に同定を依頼しLegionella pneumophila(血清型5型)と同定された。
【考察】
本菌を培養で分離することは難しいと言われている。今回、我々は血液培養より本菌を分離し、レジオネラ肺炎の診断が確定できた非常に稀な敗血症例を経験した。患者は、入院当初抗真菌剤とカルバペネム系薬剤を投与され、本菌分離後レジオネラ属に有効な抗生物質への変更により症状が改善し、外来通院となった。患者は風呂水を保温状態で3日間使用し、1日3回入浴していた。浴水からの分離頻度が高いと言われている血清型5型が分離されたことから、感染源に風呂水を疑い検出を試みたが特定はできなかった。本症例のように、在宅治療患者や老人などの易感染者では、市中肺炎で本菌の可能性も考える必要がある。また、臨床側からの患者所見の情報提供が必須であることを痛感した。最後に同定にご協力頂いた千葉県衛生研究所の方々に深謝致します。
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