第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

替え刃交換時の安全対策

 

○山本寛、郡秀一1) 海野みちる2) 滝口祥恵3) 

大河戸光章 藤井雅彦  杏林大学保健学部病理学教室 1)同・細胞診断学 2)

医学部病理 3)千葉県立東金病院検査科病理

 

【目的】

現在病理組織標本の薄切に替え刃式ミクロトーム刀が汎用されている。刃の交換は替え刃ディスペンサーから刃を押し出すが、この時必ずしも刃とミクロトーム刀が平行にならず、爪や刀付属のドライバーを利用して微調整を行っている。この操作自体薄切熟練者にしてみれば何でもない行為ではあるが、薄切初心者にとって大変危険を感じるものである。特に教育施設において、初めてミクロトームに触れるものにはその恐怖心は熟練者の常識をはるかに超えるものである。そこで、替え刃交換時の安全対策の試みを報告する。

 

【材料と方法】

替え刃押さえ具の試作と刃保持板固定ネジの改良ならびにアンケートの実施。

 

【結果と考察】

検査室でも簡単に手に入る機材を用い、替え刃押え具を試作した。これは刃の高さのずれをゴム栓つきの替え刃押え具を使って軽く上から押さえ微調整を行うもので、刃から指先までの距離が確保できるので、初心者の刃に対する恐怖心が軽減された。また、刃交換時に発生するケガの多くは、ねじの締めつけや緩めの操作時に起こることが経験的に見かけられていた。そこで、ネジ締めつけて程度を目で確認できるようにネジに目印をつけた。このことによりネジ締めつけ力が一定となった。また、緩め過ぎによる刃の高さずれや締め過ぎによるネジ山の傷みも少なくなった。薄切時の安全対策として、メスの刃先をガードする装置つきのものが売り出されている。しかし、替え刃の交換時の安全対策については各施設で対処しているだけである。今回検討した器具とネジへの目印は、初心者の刃に対する恐怖心の軽減ならびに安全対策の一つとなりえると考えられた。

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