QT Guard Systemの基礎的検討
○滝川弘一,奥山純子,長田美智子,細萱茂実,尾崎由基男
(山梨医科大学医学部附属病院)
【目的】
QT dispersion(QTd)は心室再分極の不均一性を表し、心疾患の予後予測因子として注目されている。一方、従来の用手法では、QT間隔計測時の再現性や客観性に問題がある。今回我々は、Marquette社製QTd
自動解析装置QT Guard System(QTG)について、用手法と比較し、有用性や問題点について検討した。
【対象と方法】
当検査室で心電図検査を行った連続361例を対象に、QTGにて計測を行い、12誘導中9誘導以上でQT間隔が測定可能であったものを対象とした。そのうち112例について、用手法(接線法、終末点法)と比較した。心電計はMarquette社製MAC-VUを用い、QTGは4倍、用手法はMarquette社製MUSEにて2倍に拡大後、計測した。
【結果】
QTGでは361例中303例(83.9%)で計測可能であった。3法をそれぞれ比較すると、QTGと接線法、QTGと終末点法、接線法と終末点法で、いずれもほぼ良好な相関が得られた(r=0.713、0.524、0.592、p<0.0001)。また、計測不可例は主に平低化T波および二相性T波であった。
【考察】
QTGでは4倍に拡大後QT間隔を計測するため、用手法では計測できない低振幅T波も計測可能であった。またQTGは、接線法の応用であり、接線法との相関は良好であったが、二相性T波を有する例では終末点法との乖離がみられた。QTGは客観的で再現性のある多くのデータを迅速に得られるため有効な検査法であると考えられた。
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