マイクロウェ−ブ照射を用いたパラフィン包埋腎生検の免疫染色
〇本望一昌,桜井信司,溝上昌代,菊地みどり,芳賀美子,
桜井達夫,斎藤 建(自治医大附属病院 病院病理部)
【はじめに】
ホルマリン固定パラフィン包埋腎生検の免疫染色では、背景の非特異的な反応が強く判定困難な場合が多い。今回、我々はマイクロウェ−ブ照射を用いた抗体反応により、良好な染色結果が得られたので報告する。
【方法】
内因性ペルオキシタ−ゼ除去後、前処理として0.1%トリプシン処理(37℃1時間)を行い、抗体反応時にマイクロウェ−ブの間欠照射を行ったものと、室温で反応させたもので比較検討を行った。一次抗体には、蛍光抗体法で用いているFITC標識抗体(抗IgG,M,A,補体C1q,C3c,c4)を用い、二次抗体には、抗FITC抗体および抗ウサギブタHRP標識抗体をそれぞれ用い間接法によりDABで発色を行った。
【結果】
室温で反応したものは、尿細管上皮などの非特異的陽性像が強く、補体の一部では反応が弱く特異的陽性像が検出できなかった。一方マイクロウェ−ブを照射したものでは、背景の非特異反応がほとんど見られず、陽性反応は蛍光抗体法と比較しても、ほぼ同様の結果が得られた。二次抗体では抗ウサギ抗体に比べ、抗FITC抗体を用いたほうが格段に良好な結果が得られている。
【考察】
今回我々は、抗体反応にマイクロウェ−ブ照射を用いることによりホルマリン固定パラフィン包埋材料においても免疫グロブリン、補体の特異的沈着を検出することができた。感度は蛍光抗体の染色性と同等であり、尿細管等への非特異的反応はほとんど見られず、診断に十分に耐え得るもので、凍結切片に糸球体が含まれなかった症例や過去の症例の検討への応用が期待される。
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