第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

百日咳菌分離倍地の比較検討

 

大塚正之 東出正人 桑名文二

(株)江東微生物研究所

 

百日咳の病原菌であるBordetella pertussisは、1906年ボルデーにより分離されたグラム陰性の短桿菌である。この細菌の培養はfastidious(気難しい)と表現されていて、血液を含むボルデージャング寒天培地(BG)では発育するがそれ以外の合成培地での発育は困難である。

今回我々は、血液を含まないボルデテラCD寒天培地(日研生物医学研究所)と従来のBG培地の比較検討を行ったので報告する。

 

ボルデテラCD寒天培地(日研)、ボルデージャング寒天培地(BBL)、ボルデージャング血液寒天培地(極東製薬)、ボルデージャング血液寒天培地(DIFCO)の4種類の培地を用いてB.pertussis ATCC439326の標準菌株、臨床分離株及び呼吸器系でおもに分離される菌種を用いて培地の選択性、分離回収率の比較を行った。

 

ボルデテラCD寒天培地は、血液を含まないため、Streptoccocus属を含むグラム陽性球菌の発育を阻止した。またHemophilus属も同様であった。B.pertusisの発育に関して各社共差は認められなかった。

 

従来のBG培地は非選択性培地であり、呼吸器系から分離されるほとんどの菌が発育した。薬剤(CEXMPIPC)を用いて選択性を持たせていたが、耐性菌の増えている今日従来のBG培地でのB.pertusisの分離には技術的に問題が多かった。今回の検討で用いたボルデテラCD寒天培地はグラム陽性球菌の発育を抑えるのに加え使用期限も長くB.pertusisの分離に有用であると思われた。

 

細菌室 tel 0298-37-2721245