第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

健診受診者における尿中抗Helicobacter pyloriH.pylori抗体検出法を用いた

感染率とその疫学的調査結果報告

 

〇鈴木あゆみ,佐藤清香,前田純子(海上ビル診療所検査科)

木庭郁朗,近藤謙二,鬼沢信明(同消化器内科) 
 

【はじめに】

従来Helicobacter pylori(以下、H.pylori)感染は血清抗体測定、13C-尿素呼気試験法、生体組織培養法等で診断されていた。今回、随時尿を検体とした検出試薬(尿中抗H.pylori抗体検出用試薬・商品名ウリネリザ・大塚製薬)が開発された。本法は非侵襲的で大量の検査が同時にできることから、感染状態を把握するスクリーニング検査に有用であると考えられる。今回われわれは本法を使用し、健常者の感染率と疫学的調査を行ったので報告する。

 

【対象・方法】

対象は20001月〜3月までの当院健診受診者のうち、調査目的の主旨説明を行い同意が得られた男性529名、女性479名、総数1071名。対象年齢2169歳(平均年齢男性43.2歳、女性32.8歳)。同時に、性別、年齢、胃内視鏡検査施行歴、消化性潰瘍既往歴、喫煙歴、飲酒歴、家族歴、小学校就学以前の生活環境などについてアンケート調査を行った。

 

【結果】

感染率は、50.9%(男性347名、女性198名)であった。性別では、男性58.6%、女性41.3%であった。また年齢別の感染率をみると、加齢と共に上昇傾向を認めた。40歳以上の感染率は男性75.2%、女性60.0%を占めた。今回われわれの調査によって得られた40歳以上の感染率は近年報告されている他方法による感染率約60%とほぼ同率の結果であった。このほか各アンケート調査項目と感染率との関係、H.pyloriの感染要因について疫学的考察を加え報告する。

 

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