第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

CRP測定における免疫比濁法とラテックス法にて乖離を示した一症例

 

○森尚美 堀由美子 宅美栄久 広瀬秀男(関東医学研究所)

 

【はじめに】

CRPは、急性相反応物質であり、現在の測定法は、免疫比濁法(以下TIA法)とラテックス法(以下LA法)が主流である。今回我々は、TIA法でCRP高値を示した患者血清についてLA法で測定を行なった結果、乖離したデータが得られた一例を経験したので報告する。

 

【症例】

70歳女性、H11年1月、悪性リンパ腫と診断され入院。以前よりCRP高値(入院時30.3mg/dl)を示していたが、臨床症状より所見が認められないため経過観察となった。

 

【検討】

1)試薬:クリニメイトCRP、ピュアオートSCRP、イムノテスタIgG,IgA,IgM、

2)試料:患者血清、対照患者血清、セロノルムCRP、

3)測定内容:第一化学薬品カスタマーサポートセンターに依頼し、試料について東芝80FR形自動分析装置、電気泳動装置にて、CRP値測定、反応沈降線形成の確認を行なった。

 

【考察】

@LA法での測定値が低いこと、またCRP抗体との沈降線が認められないことから、患者血清のCRP濃度は低い、

Aヤギ正常血清とは沈降線が生じないことから異好性抗体は考えられない、

BIgMはやや高値を示したが免疫電気泳動法では明確な特徴がでていない、

CクリニメイトCRP試薬及びヤギ正常血清との反応は抗原抗体反応以外の非特異的な凝集反応を示している、

D低温保存で蛋白沈殿物が認められる。以上の結果より、クリオグロブリン血清やIgG免疫複合体の存在及びそれらの変性が推測され、これらの不溶化しやすい蛋白が試薬@のPEGにより析出し、続いて試薬Aのヤギ血清との非特異反応によりCRPが高値となった可能性が高いと考えられる。    

 

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