全自動血液凝固測定装置Coagrex−800の基礎的検討
○福田幸広 冨士尋子 日下部尚子 井田喜博
(船橋市立医療センター 臨床化学検査室)
【目的】
今回、我々は光散乱法による凝固時間法ならびに合成基質法、ラテックス比濁法の同時測定が可能な全自動血液凝固測定装置Coagrex−800(国際試薬)を導入し、当検査室で測定している10項目について基礎的検討を行ったので報告する。
【装置および試薬】
COBAS-FARAU(デイド・ベーリング)を対照測定機として使用した。試薬;トロンボチェックPTプラス、複合因子T、複合因子H、ラテックステストBL-2 FDP、リアスオート・Dダイマー(国際試薬)、プラテリンLS(三共)、フィブリノーゲン「RD」(ロシュ・ダイアグノスティックス)、テストチームSATV、SPLG、SAPL(第一化学)。対照試薬;トロンボテストオーレン、ヘパプラスチンテスト(エーザイ)、エルピアFDP、エルピアエースD-Dダイマー(ダイアヤトロン)。試料はコアグトロールTX・UX(国際試薬)、プール血清・血漿および患者検体を用いた。
【結果】
コアグトロールを用いた同時再現性(n=20)のCV値は、全ての項目で5%以下であり、日差再現性(n=15)のCV値は、10%以下であった。患者検体を用いた希釈直線性はFibでは800mg/dl、FDPは80μg/ml、Dダイマーは20μg/mlまで認められた。各項目とも干渉チェックAプラス(国際試薬)による共存物質の影響はみられなかった。従来法との相関係数はPT;r=0.977,APTT;r=0.944,Fib;r=0.863,TT;r=0.987,HP;r=0.980,ATV;r=0.991,PLG;r=0.995,APL; r=0.967,FDP; r=0.990,Dダイマー;r=0.913であった。
【考察】
従来法との相関におけるFibの相関係数が低値となったが、これは従来法がPT試薬を用いた間接測定法であった為と考えられる。その他の基礎検討については良好な結果が得られ、かつ対照測定機に比べ各定量項目で高濃度域までの直線性が得られたことよりCoagrex−800は日常検査に有用性の高い測定装置である。
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