第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

ルミパルスHCV抗体試薬の特異性について

 

○市川佳世子 小岩井宏子 磯海果秀 堀井隆
(順天堂大学附属病院臨床検査部)

 

【目的】

当院では昨年よりルミパルスfによる抗HCV抗体の測定を開始した。しかし,カットオフインデックス(C.O.I)低値で偽陽性を示す検体が多く認められた。今回,特異性を改良した試薬が開発されたのでその検討成績を報告し,併せて現行試薬における偽陽性の検出状況を報告する。

 

【方法】

対象は抗HCV抗体検査を依頼された18301検体を用いた。ルミパルスで陽性(C.O.I≧1.0)と判定された検体のうちC.O.I低値(≦9.9)の検体についてRIBAVにて確認した。改良試薬の検討は現行試薬で偽陽性を認めた検体について測定し,その結果を比較した。

 

【結果】

ルミパルスの陽性は1457検体であった。このうちC.O.I≧10.0が826検体(4.5%),C.O.I 1.0〜9.9が631検体(3.4%)であった。RIBAVで測定した557検体のうち陰性を示したのは398(2.2%)検体であった。また,RIBAV陰性検体のうち測定できた384検体における改良試薬の成績は362(94.3%)検体が陰性であった。

 

【考察・まとめ】

抗HCV抗体検出におけるスクリーニング検査は感染の既往も含めた抗体を感度良く検出しているのが現状である。しかし,本法における現行試薬での測定は偽陽性の割合が2.2%と高くその特異性に問題がある。今回,開発された改良試薬の成績は現行試薬で偽陽性の94.3%が陰性となり特異性の向上が認められた。

現行試薬で認められる非特異反応の原因として使用抗原に対する交叉反応や固相のブロッキング剤などの影響が考えられるがその詳細は明らかではなく今後の検討が必要である。

 

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