第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15
ドック受診者における禁煙後の呼吸機能検査値の検討
〇中山美奈 尾関貴子
佐久美哲也 星川久義 杉山和夫
(聖マリアンナ医大 臨床検査部)杉内登(同
麻酔科)
【目的】
近年、健康に対する関心が高まっており、禁煙する人が増加傾向にある。しかし、喫煙習慣を止めた事による呼吸機能検査値の変化を検討した報告は少ない。今回我々は、喫煙習慣を止めた前年より、6年間の呼吸機能検査値ついて、調査検討したので報告する。
【対象・方法】
聖マリアンナ医科大学病院において13年間人間ドックを受診者37歳から50歳までの男性88名を対象とし、A群:非喫煙者27名、B群:途中禁煙者30名、C群:喫煙者31名に分類した。また、B群においては喫煙量(Pack year)によってグループ分けし、399本以下をL群、400〜799本をM群、800本以上をH群として、呼吸機能検査結果を比較検討した。
【結果】
FVC、FVC/Ht、FEV1.0、FEV1.0/Ht、MMFR、50、について、B群で禁煙前年と禁煙1年目を比べると、1年目の値に有意差を認め、A群、C群では初年度と2年目の値では有意差を認められなかった。B群では、喫煙量の多いM群、L群はFVC、FVC/Ht、FEV1.0、FEV1.0/Htにおいて、禁煙前年に比し、禁煙1年目の値は有意差を示した。
【考察】
喫煙習慣が末梢気道に影響を与えている事は、前回の検討で報告した。障害を受けた末梢気道はDockeryらの報告によると喫煙を中止することによりある程度まで回復すると言われ、今回我々の検討でも、FVC、FVC/Ht、FEV1.0、FEV1.0/Ht、MMFR、50、が禁煙によって禁煙后に有意差を認め、喫煙量においても同様な傾向が見られたことにより、タバコによる気道障害は禁煙によりある程度まで可逆的に回復すると考えられた。
聖マリアンナ医大 臨床検査部
044-977-8111(内6227)