第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

頸部結核性リンパ節炎の超音波像の検討

 

○鈴木香 高梨昇 苅谷有紀 大脇豊美 原真喜子 白石周一

小柳紀子 川上千賀子 小林久雄(東海大学医学部付属病院中央臨床検査センター)
山本真一 南里和秀(同付属大磯病院中央検査室)浅井さとみ(同臨床病理学教室)

 

【目的】

近年、結核患者の増加に伴い超音波検査においても結核性リンパ節炎と遭遇する機会が多くなった。今回我々は、結核性リンパ節炎の超音波像について検討したので報告する。

 

【対象と方法】

1997年1月〜1999年12月までに当院および付属大磯病院にて頸部超音波検査を施行し、病理組織学的に結核性リンパ節炎と診断された8例(男性2例、女性6例、平均年齢57歳)を対象とした。方法は、リンパ節腫脹の数と融合性ならびに最大径のリンパ節腫脹のD/W ratio、内部エコー(エコーレベル、リンパ節門エコーの有無など)、後方エコーについてretrospectiveに検討した。使用機器は東芝社製SSA250A(7.5MHzアニュラアレイプローブ)、GE社製 LOGIQ500 (11MHzリニアプローブ)。

 

【結果】

リンパ節腫脹の数は、8例中単発は1例、2〜5個3例、6個以上4例で、8例中3例にリンパ節間の融合を認めた。最大径の計測ができた7例のD/W ratioは0.4〜0.8(平均0.6)であった。内部エコーレベルは全例で低下し、8例中7例は内部に淡い点状エコーを認め、1例には石灰化像を認めた。リンパ節門の線状エコーは、3例で偏位していた。後方エコーは8例中7例が増強していた。

 

【まとめ】

結核性リンパ節炎の超音波像は、多発性で内部エコーレベルの低下と後方エコーの増強を呈する傾向があった。リンパ節同士の融合やリンパ節門エコーの偏位を認めたものもあり、悪性リンパ腫との鑑別を要するものもあったため、今後の比較検討が必要と思われた。

 

0463-93-1121