第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15
自動血球分析装置GENESにおける、
破砕赤血球を血小板として測定する危険性
○馬場ひさみ 成田厚子 徳竹孝好 石坂あづさ
(長野赤十字病院 中央検査部)
【はじめに】
破砕赤血球は、HUS、DIC、BMT後のGVHDなどにより血管壁が損傷を受けた場所にフィブリン塊が付着し、そこを通過する赤血球が物理的に破壊されて生じるといわれている。
今回我々はGENES(ベックマンコールター社)と末梢血塗抹標本上で観察された血小板数に乖離が認められ、その原因が破砕赤血球の出現にあると思われた極小未熟児の症例を経験した。血小板測定におけるGENESの問題点について検討したので報告する
【方法】
GENESと用手法の血小板の測定値及び破砕赤血球の割合(%)について比較検討した。
【結果】
血小板の測定値(×104/μL)
日付 GENES 用手法 破砕赤血球(%)
12/ 5 9.5 2.2 2.9
12/13 12.9 2.0 5.0
1/ 5 1.8 1.0 1.0
破砕赤血球の増加により血小板数の乖離度も上昇
【考察】
今回の症例について、用手法による視算によって実際の血小板数はGENESの測定値よりかなり少ないことを確認した。塗抹標本上では多数の小さい破砕赤血球が観察されGENESが破砕赤血球を血小板として測定したと推察された。
GENESにおける血小板の測定原理は、電気抵抗方式であり、赤血球と血小板を大きさで分類しているので、血小板とほぼ同じ大きさの破砕赤血球を血小板として測定してしまったと考えられる。光学的(+蛍光染色)測定方式を用いている他メーカーの自動分析装置では、このような問題は回避できると思われるが今回は検討できなかった。
末梢血塗抹標本上で、サイズの小さい破砕赤血球が多数観察された場合は、血小板数を用手法で測定し直した方がよいと思われる。
連絡先 026-226-4131 (内)2226