第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

GENSによる自動分類時好中球フラグと血液像目視法の一致率の検討

 

○中村のり子 門川進一 中澤幸明 神代和正(東京都立荏原病院)
鈴木晴子(東京都立大塚病院)

 

【目的】

血液像検査の目視件数を減少することを目的とし、血液自動分析装置(GENSベックマンコールター社:以下GENS)による自動分類の好中球系サスペクトフラグの出現状況と目視法との一致率から、NE%報告限界の検討を行ったので報告する。

 

【対象および方法】

当院の血液像自動分類の基準範囲からNE%70%を超える入院・外来検体1000例を対象とし、フラグの確認と目視法による白血球分類を日臨技血液形態検査勧告法に準じて行った。症例をGENS分類で≧70%、≧75%、≧80%、≧90%4つのグループに分け、cut off値をMYELOMETASTABを併せて8.0%GENS感度限界の10.0%で、偽陰性・偽陽性の割合と一致率を算出した。

 

【結果】

cut off8.0%の結果は≧70%で偽陰性・偽陽性ともに0.6%、一致率は98.9%。≧75%は偽陰性2.7%、偽陽性1.3%、一致率96.0%。≧80%は偽陰性2.3%、偽陽性8.7%、一致率89.0%。≧90%は偽陰性0.0%、偽陽性25.7%、一致率74.3%cut off10.0%の結果は≧70%で偽陰性0.3%、偽陽性0.8%、一致率98.9%。≧75%は偽陰性・偽陽性ともに1.7%、一致率96.6%。≧80%は偽陰性1.0%、偽陽性9.0%、一致率90%。≧90%は偽陰性0.0%、偽陽性28.6%、一致率71.4%。以上のような結果が得られた。

 

【考察】

NE%が高いほど偽陰性は少なくなり、それに比して偽陽性の割合が上昇した。また一致率も低下傾向が見られた。≧70%群は偽陰性・偽陽性とも1.0%以下で、一致度も98.9%と良好であった。この結果を臨床に説明し、NE%のサスペクトフラグの設定を75%未満として目視検査件数を減少させた。

 

03-3941-3211