第３７回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

血液検体からのmecA・spa遺伝子直接検出の検討

○青木貞男　高山千枝子（国立甲府病院）
望月規央 齋藤信一(国立病院東京災害医療セン ター)
奥田　勲 （国立療養所東京病院）

【目的】我々は、methicilln-resistant Staphylococcus aureus（MRSA）に存在するmecA遺伝子とspa遺伝子を臨床材料から直接検出できるジーンカラーmecA・spa（湧永）を使用しMRSAの菌血症 モデルと臨床由来の血液培養液からMRSAの直接検出を試みたので報告する。

【対象および方法】

使用菌株及び血液培養液は、 mecA・spa遺伝子陽性の菌株12株とMRSAが検出された４症例を使用した。菌血症モデルは、菌液にウマ脱繊維血(コージンバイオ)を加え作製した。菌浮 遊血漿の回収は、2とおりの方法で行い、良好な結 果が得られた方法で検出感度の検討を行った。臨床由来の血液培養液,血漿成分の洗浄及びそれ以 降の操作は説明書に準拠した方法で行った。

【成績】

血漿成分の回収方法の検討では、3000rpm 10分の条件において平均 4.7x10³ cfu/mlで両遺伝子を検出できた。一方、1500 rpm 10分では平均 1.6x10³ cfu/mlとなり3000 rpm 10分より良好な成績が得られた。検出感度の検討では、両遺伝子の検出は平均1.1x10³cfu/mlで可能あった。

しかし、それ以下の菌数では、mecA(-)spa(+)であ った。 臨床由来の血液培養液を検体として用いた方法では、すべて両遺伝子が検出された。

【考察】

菌血症モデルにおける検出感度の検討では、平均1.1x10^３cfu/ml以上の菌数で両遺伝子 が検出されMRSAと同定された。しかし、それ以 下の菌数では、spa遺伝子のみが検出され meth-icillin-sensitive Staphylococcus aureusと誤同定された。したがって菌数の少ない血液検体か らの両遺伝子の検出には、陽性となった血液培養液を検体として用いた方がよいと思われた。

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