PolyMICAによる免疫組織染色増感法の基礎的検討
○山本敦朗 中野貴世 倉上早苗 町田知久 横山一紀 下野浩一
中尾隆志 青木久之 渋谷誠 (東海大学医学部付属東京病院)
【目的】
免疫組織染色2次抗体キットのPolyclonal Mirror Image Complementary Antibodies(以下PolyMICA、Binding Site)は異種動物から作られたperoxidase標識2次抗体を2回、無標識2次抗体を2回の合計4回反応させることでDABとの反応を増感させる作用を持つ。今回我々は、PolyMICAの基礎的検討と他の2次抗体との染色性の比較を検討したので報告する。
【方法】
材料は、扁桃の10%ホルマリン固定パラフィン切片を使用。1次抗体にはCytokeratin、L-26を使用しPolyMICAでの1次抗体希釈は100〜64000倍で行った。染色性の比較は、CSA法(DAKO)、高感度間接法ENVISION+(DAKO)および シンプルステイン(ニチレイ)、間接法の3種類を用いDABにて発色を行った。非特異反応を抑制するためにカゼイン、スキルミルク、BSAの3種類を用いその効果を検討した。
【結果】
PolyMICAでは、標本背景の発色が起きやすく非特異反応の抑制が必要であったが、5%スキムミルク5分の処理で良好に背景の発色抑制が可能であった。感度は、PolyMICAで32000倍、シンプルステイン及びENVISION+で2000倍、間接法では若干ではあるが800倍までの発色を確認できた。また、CSA法はほぼ同感度であった。
【考察】
PolyMICAは、背景の非特異反応を抑制することで良好な染色性をもたらす高度な方法と思われた。また、1次抗体が高価または貴重な場合に必要量を最小限に抑えることでも有用性が高い。さらに抗原性の低い組織やISHにも応用可能と思われる。最後に、核内抗原に対する染色性の検討は追加報告として行う。
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