Auto Vueと用手法との比較と評価
○山口陽子 倉島志保 武井美恵子 小林信昌
(東海大学病院 細胞移植医療センター 輸血検査室)
【目的】
輸血検査での安全性を高める為全自動輸血検査システム(AutoVue)からのオンライン報告を目指し導入に向けて用手法との検討を行った。
【方法】
@ABO・Rho(D)血液型:AutoVue(以下AV法)と用手法との血液型判定の一致率とうら試験の凝集の強さを比較し、AV法でうら試験が1〜3+を示した検体の抗体価を測定した。また人工的にキメラ血球とDAT陽性血球(O(-)を使用)を調製し、AV法での検出限界及びRho(D)血液型検査への影響を検討した。
Aスクリーニング検査:AV法と用手法とのスクリーニング検査の一致率を比較した。AV法の血球試薬にはオーソバイオビュースクリーン(オーソ社)、パノスクリーン-3(三光純薬) を使用した。
【結果】
@AV法でのうら試験の凝集は用手法よりも弱く、特にB血球側でその傾向が見られた。抗体価はうら試験の強さと比例し、うら試験が同じ強さであれば抗A抗体価よりも抗B抗体価のほうがやや高い結果となった。キメラの判定は混在する血球の割合で測定能力に差が生じた為、見逃す危険性が示唆された。AV法でのDATは感作させる抗血清の種類によって用手法よりも強く出る傾向がみられた。またDAT強陽性の場合Rho(D)・対照ともに陽性となったことから、Rho(D)血液型の判定に影響はないものと思われた。
Aスクリーニング検査では用手法と比べAV法の自己対照陽性率が約20%、冷式抗体の検出は困難であったが、温式抗体では用手法とほぼ同等の結果となった。
【結語】
AV法は血液型検査でキメラの検出にやや不安が残るものの、寒冷の影響によるおもて・うら不一致を防ぐことができ、スクリーニング検査でも臨床的に意義のある温式抗体の検出が可能であることから有用な検査法であると思われた。
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