全自動血液凝固線溶測定装置2機種の使用経験
○川上ゆき子 癸生川貴子 川口恵美子
(東邦大学大橋病院臨床検査部)
【目的】
全自動血液凝固線溶測定装置が開発され、検査業務の迅速化、効率化に貢献している。今回、STA-R(ロシュ・ダイアグノスティックス)およびCoagrex-800(国際試薬;以下CR-800)の使用機会を得て、ラテックス免疫比濁法項目Dダイマー,FDP の相関、試薬反応性や機種の特性、またFDP測定値が乖離する症例についてSDS-PAGE、Western blot試験を実施し、分画についても検討したので報告する。
【方法および対象】
使用機器:STA-R,CR-800
試薬:ライア テストDダイマー,コアグソルFDP(ロシュ・ダイアグノスティックス)リアスオートDダイマー,ラテックス テストBL-2FDP(国際試薬)エルピアエースDDダイマー,エルピアFDP(ダイアヤトロン)を用いた。
対象:当院入院および外来患者3.2%クエン酸Na加血漿および凝固促進剤処理血清検体。
【結果】
相関:Dダイマーはr=0.900,y=0.635x‐0.145(n=27)、FDPはr=0.530,y=0.248x+11.207(n=24)であった。FDP測定値が回帰直線からはずれる8例についてWestern blot試験を実施した結果DD/E分画を確認した。また、DIC診断基準より血清FDP値10〜20μg/ml(A群),20〜40μg/ml(B群),40μg/ml以上(C群)と分類した。各測定法におけるFDP測定値の分布はSTA-R:A群(5/24例21%),B群(7/24例29%),C群(5/24例21%)、CR-800:A群(2/24例8%),B群(7/24例29%),C群(5/24例21%)となりCR-800の高値傾向が認められた。
【考察】
血中のFDPは均一の物質でないため各分画に対する試薬の反応性が異なり、また試薬の組成や分析機の測定条件の違いによる影響が推察される。
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