当院におけるリンパ球関連抗原の免疫組織化学的染色法
−前処理法の使い分けを中心に−
○篠宮克彦、細田周二、根本充弘、野呂昌弘、
秋草文四郎(松戸市立病院 病院病理科)
【目的】
近年、パラフィン切片で検索可能な抗体が新規に多数発売され、当院においても積極的に導入している。しかし、それらの中にはメーカー推奨の前処理(賦活化)条件でも染色性が不安定なものも見受けられ、以前にも増して前処理法が染色結果を左右するようになってきた。そこで我々は染色性の安定を図るべく、処理液と処理法を中心とした検討を重ね、その結果、若干の知見を得ることができ、また当院の免疫染色精度の向上にも有効であったので報告する。
【方法】
当院で生検された正常及び腫瘍性のリンパ節組織の10%ホルマリン固定パラフィン切片を用いた。染色システムはニチレイSAB-POキットを使用し、賦活化処理はMicrowave(MW):500W,
10-20min・Autoclave(AC):116-121℃,5-20min・Protease:0.01%,30-120min処理のいずれかを用いて内因性peroxidase阻止の前に行い、加熱処理液は通常の0.01M
pH6.0クエン酸緩衝(CB)液の他、必要に応じて我々が開発したpH7.0 NaOH-CB液などを用いた。検討した抗体は当院でLymphomaの診断に用いている全27種類である。
【結果】
種々の条件を検討した結果、当院で使用しているリンパ球関連抗体の賦活化処理の要求度を次の3ランクに分けることができた。
○ランク1(弱):Microwave(MW)処理 or
Protease
○ランク2(中):Autoclave(AC)処理pH6.0
CB液
○ランク3(強):AC処理pH7.0 NaOH-CB液
また、薄切して長期保存しておいた切片は通常より強い条件を必要とする傾向が見られた。
【考察】
各抗体について、最適な賦活化処理を選択する事は、免疫染色の精度向上に必要不可欠であると思われた。
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