免疫学的便ヘモグロビン定性検査におけるROC解析
○岡田茂治、中沢弘子、筑後保幸、磯村眞理子
(埼玉県立がんセンター臨床検査部)
野津聡(同放射線診断部)
【目的】
OC-ヘモディアとOC-ヘモキャッチの陽性率及び診断精度を検証する目的でROC解析を行なった。
【対象】
平成11年11月17日から平成12年2月29日の期間にOC-ヘモディアとOC-ヘモキャッチ双方にて便潜血検査を行い、その後に大腸内視鏡検査を施行した49症例。原則として、当日朝の便を検体として検査室に提出してもらい、担当技師が採便スティックに採取し30分放置後に検査を実施した。
【結果及びまとめ】
対象患者49例の内訳は大腸進行癌12例、早期癌10例、腺腫10例および大腸腫瘍なし17例であった。便Hb検査の診断精度は、OC-ヘモディアで進行癌に対し感度66.7%(8/12)、特異度100%(37/37)と良好であったが、進行癌と早期癌をあわせると感度が36.4%(8/22)と著しく低下した。一方、OC-ヘモキャッチは進行癌で感度75.0%(9/12)、特異度83.9%(31/37)。進行癌と早期癌をあわせると感度63.6%(14/22)、特異度96.3%(26/27)となり早期癌を含む大腸癌に対しOC-ヘモディアと比較して良好な診断精度であった。なお、さらに腺腫を含めた場合では、OC-ヘモキャッチでも特異度が100%(17/17)となるが感度が46.9%(15/32)と約半数に低下した。以上、OC-ヘモディアは感度を低く設定してあるため進行癌の診断に有用であるが、早期癌のような小病変の拾い出しには、より感度の高いOC-ヘモキャッチを適応すべきと考えた。なお、OC-ヘモキャッチが早期癌を含む大腸癌のスクリーニングとして診断精度が高い理由のひとつにヒトヘモグロビンに対するポリクロナール抗体とモノクローナル抗体を併用したことが推定される。
048-722-1111 内4119