MicroScan 「MICroFAST 1J パネル」を用いた薬剤感受性の検討
○是永陽子,三澤成毅,小栗豊子
(順天堂大学附属病院
臨床検査部)
【目的】
MicroScan WalkAway ( DADE
BEHRING )は被検菌の同定検査と薬剤感受性検査を自動的に実施,判定することができるが、Streptococcus pneumoniaeなど発育の悪い菌種には使用出来なかった。最近S. pneumoniaeと他のStreptococcus属の薬剤感受性測定が可能なMICroFAST 1J パネル(以下MF-1J)が発売されたので、この方法と日本化学療法学会標準法(以下化療標準法)とを比較検討した。
【材料及び実験方法】
使用菌株はS. pneumoniae
97株,溶血レンサ球菌55株である。接種菌液は専用のチュ−ブにMcFarland No.0.5に調整し、この100μlを専用ブロスの25mlに加え、プレ−トに接種した。化療標準法はMIC-2000 (Dynatech)を用いる微量液体希釈法で行った。判定はともに24時間培養後に目視にて行った。
【結果】
S. pneumoniaeは完全一致が60.3%,1管差が34.4%,2管差以上は5.3%であった。溶血レンサ球菌では完全一致が63.6%,1管差が28.1%,2管差以上は8.3%であった。また薬剤により差が認められ、PCGの完全一致は35.5%,1管差は27.1%,2管差は37.3%であった。同様にEMでは完全一致が17.0%,1管差は8.5%,2管差以上は74.6%であった。しかし感性(S),中等度感性(I),耐性(R)の範囲で判定するとその一致率はともに93.2%となった。全体的にMF-1Jのほうが高値を示す傾向が認められた。
【結論】
操作上は多少菌液調製や判定に手間がかかるなどの問題点もあるが、一致率は1管差以内では93.2%,S,I,Rで判定した場合は89.1%と化療標準法と高い相関性が得られ、日常検査にも十分有用であると考えられた。
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