第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15
境界型糖尿病スクリ-ニングにおける各種検査法の比較
−尿糖、血糖、HbA1cについて−
〇佐瀬正次郎、石田良恵、菱木敏男、高橋英則
(総合病院国保旭中央病院中央検査科)
【目的】
耐糖能異常を早期に発見することは極て重要である。今回、75gGTTを実施した患者群の尿糖、血糖およびHbA1cから境界型のスクリ-ニング検査としての各指標の有用性について検討した。
【対象・方法】
当院において75gGTTを実施し境界型と分類された185例について負荷前、1時間、2時間の尿糖、血糖およびHbA1cの分布から感度と特異性の関係を求めた。
【結果】
1)尿糖、血糖およびHbA1cの分布:尿糖濃度は、負荷前は11.7±10.6(Mean±SDmg/dl)と88%が30mg/dl以内に集束し、負荷1時間は239±436、2時間は558±993となった。血糖は、負荷前は102±9.9と58%が110mg/dl以内を示し、負荷1時間は186.7±32.3、2時間は155.4±24.3となった。HbA1cは、5.6±0.46と76.4%が5.8%以下を示した。
2)尿糖、血糖およびHbA1cの感度と特異性:尿糖は、cut
off値30mg/dlでは負荷前は感度12%、特異性100%、負荷2時間では感度82%、特異性85.5%であった。血糖は糖尿病学会の新基準から負荷前を110mg/dlとすると感度42%、負荷2時間を140mg/dlとすると感度87%であった。HbA1cは、5.9%に設定すると感度23.6%、特異性94.7%であった。
【考察】
空腹時での尿糖、血糖検査は、境界型などの軽度耐糖能異常を見逃す危険性が高く、特に、尿糖はスクリ-ニング検査として適さないと思われた。負荷後2時間では尿糖のcut off値を30mg/dlとすると感度がほぼ血糖と同水準となりスクリ-ニングとして有用と思われた。この事は、現在標準化が叫ばれている尿糖定性検査の検出感度濃度が30〜50前後であることを示唆していると思われた。HbA1cは、軽度耐糖能異常の見逃しの危険性が高く他の指標との併用が望ましいと考えられた。
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