迅速細胞診・標本作成の工夫
O守部政二 林光雄 佐藤義重 吉田克巳
(国保旭中央病院臨床病理科)
【はじめに】
迅速細胞診は、近年その有用性が認められ、当院においても積極的に活用している。正確な細胞診断を行う為には、質の高い標本を作成する必要があるが、迅速診断であることから、速やかな標本作成も要求される。なるべく短時間に満足な細胞診断が可能である条件を検討した。
【検討内容】
1.液状検体について、遠心回転数による、沈渣のでき方
2.固定時間
3.ヘマトキシリン、Orange G,EA−50,の染色時間
4.その他
【結果】
1.回転数と時間の違いによる、体腔洗浄液及び体腔液の細胞回収量は、1000〜1500回転1分で、細胞の集まりは、不十分だった。短時間で細胞を採取するには、回転数を上げる必要があり、2500〜3000回転 1分が、適当であった。
2.固定時間は、剥離を防ぐ為に10〜15秒固定が必要だった。
3.ギル・ヘマトキシリンは、10〜15秒で染まりが良かった。
4.Orange Gは、5〜10秒で十分だった。
5.EA−50については、塗沫の状態により、30〜1分要した。
【考察】
迅速細胞診においては、速やかな標本作成が要求されるが、いつも見慣れているパパニコロウ染色を、短時間で作成する事により、迅速細胞診に役立つと考えられる。