第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

Gastrointestinal stromal tumor (GIST)の超音波像の検討

 

○山形正人,白石周一,落合直子,高梨昇,小林久雄   

(東海大学医学部付属病院中央臨床検査センター)

 

はじめに

従来、消化管の紡錘形細胞を主体とする間葉系腫瘍は、筋原性と神経性腫瘍に分類されていた。しかし、免疫組織化学の進歩により、分類不能な腫瘍が多数存在することがわかり、現在では消化管由来の間葉系腫瘍をGastrointestinal stromal tumor(以下GIST)としている。今回我々は、当院で胃由来のGISTと診断された症例の超音波像について検討したので報告する。

 

【対象、方法、使用装置】

199710月〜199911月までに当院で腹部超音波検査を施行し、胃粘膜下腫瘍を指摘され、病理組織学的にGISTと診断された6(男性4例、女性2例、平均年齢58)を対象とした。方法は、腫瘤の形状、境界、辺縁、内部エコー、エコーレベル、後方エコーなどについてretrospectiveに検討した。装置は東芝SSA-350AおよびSSA-250A、アロカSSD-650CLGE横河 LOGIQ 500を使用し、探触子は3.53.75MHzコンベックス型を用いた。

 

【結果】

腫瘍の大きさは23×1653×36mmで、形状は球状〜楕円形を呈していた。6例すべてにおいて境界明瞭、辺縁平滑であった。内部エコーは6例中4例が均一であった。内部エコーレベルは脾のエコーレベルと比較し、6例中4例が低エコー、2例は等エコーであった。内部に嚢胞変性を伴うものはみられず、石灰化は1例にのみ認められた。後方エコーは6例中4例で増強、2例は不変であった。

 

【まとめ】

今回の検討では、胃由来のGISTの超音波像は、形状が球状〜楕円形、辺縁平滑、内部エコー均一、エコーレベルは脾よりも低いものが多く認められた。しかし、病理組織学的にはGISTはいくつかのsubtypeに分類されるため、今後、症例を増やしさらなる検討が必要と思われた。

 

TEL 0463-93-1121(内線3164)