第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

移植に関わる臨床検
HLA検査センターの業務について

 

○山崎正明 野田 岳 飯田好江 大脇佳則

上杉健治(国立佐倉病院 臨床検査科)

 

【はじめに】

1999年2月、我が国で初めて『臓器移植法』に基づく脳死体からの移植が行われ、その後も尊い臓器提供が続いている。当院は厚生省・(社)日本臓器移植ネットワークよりHLA(ヒト白血球抗原)総合センター兼HLA検査センターに指定されており、全国的な活動と共に日常的に様々な移植関連検査を実施している。今回、組織適合検査と移植時の臨床検査項目を中心に、具体的な業務内容について紹介する。

 

HLA検査センターの業務】

現在、HLA検査センターは全国に約50施設存在する。その中でもドナー(臓器提供者)検査担当施設の最も重要な役割は、ドナー発生時にHLA型を迅速かつ正確に提出することであるが、その他にも最終的なレシピエント(受臓器患者)決定に必須なリンパ球直接クロスマッチや、各種感染症検査(HBs抗原、HCV抗体、HIV抗体、HTLV-1抗体等)、血液型の確認、生化学検査(肝機能、腎機能等)などを実施している。なお来年度から、予算のより有効的な運用とドナーが少ない現状を考慮して、ドナー検査施設に24時間オンコール体制や高精度検査を導入し充実化とレベルアップを図る等、更なる体制の合理化を行うことになっている。

 

【まとめ】

移植検査というと、まずは専門的な組織適合検査が想像されるが、一般的な臨床検査も数多く実施されている。移植医療は、その時々で多くの人が関与しており、まさに大規模チーム医療の典型である。その中でも検査分野は、ドナー臓器の適応判断やレシピエント選択という非常に重要な部分に関わっている。緊張感を強いられる業務であるが、常に向上心と使命感を持って仕事に臨むことが大切と思われる。

 

連絡先:043-486-1151(内線3474