視運動性眼振検査におけるデジタル脳波計計測の応用
○中澤
武司 (順天堂浦安病院検査科)
中川 雅文 安藤 一郎(同 耳鼻咽喉科)
【目的】
信号波計におけるデジタル化の最大のメリットは、数値化されたデータをコンピュータ解析することにより、客観性のあるデータを提示し、診断の自動化に貢献できることである。今回我々は、平衡機能検査のデジタル化を試み、視運動性眼振検査において自動計測し若干の知見を得たので報告する。
【方法】
眼振計測は、NEC biotop 6R12(HI cut30、 Lo cut 0.16、Hum Filter)を使用し、BFA Ver 4.55(脳機能研究所)でAD変換した。刺激装置はFos-02(第1医科)を使用し、2゜/secで加速し、40゜/secで定速となった段階で、約40秒間持続し計測した。眼振の解析は、定速点より1024ポイントの間で解析した。眼振カウントは、ゼロクロス法で検出後、20Hzで再サンプリングし、眼振間隔(周波数)を自動計測し、周波数ヒストグラムを求めた。当院職員10名と末梢前庭障害を認める当院受診患者50名で検討した。
【結果】
刺激装置の平均周波数は、1.20でSDは0.00であった。この刺激装置を使用した等速刺激による正常成人の眼振の平均周波数は、1.18でSDは、0.28であった。周波数ヒストグラムでは、0.9から1.5の間に集中したピ-クが見られた。また平均周波数の左右差は、平均0.09であった。末梢前庭障害例での眼振の平均周波数は、1.38でSDは、0.56、周波数ヒストグラムでは、高周波数域側に分散する傾向が見られた。
【まとめ】
等速刺激による眼振の計測では、眼振個数のバラツキや左右差が明確に数値化された。周波数ヒストグラムによりバラツキが見られる症例の原因としては、基線の動揺や小刻みな眼振により、ゼロクロスが不充分による周波数の乱れによものでSDが0.5以上のものは、原波形をチェツクし原因を究明する必要があると思われた。
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