第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

ケミルミアナライザーACS180SEによるTSH測定試薬の検討

高階成実,上野芳人,三橋裕行,桑田昇治,木野内喬
(帝京大学医学部付属市原病院)

【目的】
今回、われわれは化学発光免疫測定法(CLEIA)を原理としたケミルミアナライザーACS180SEを用い、バイエルメディカル社により開発された第3世代のTSH測定試薬の基礎的検討を行ったので報告する。

【方法】
TSH測定試薬は、ACS180SE分析装置用試薬ケミルミACS-TSH-Vを用いて測定した。他法との比較にはTSH・リアビーズU(RIA法;ダイナボット社)を用いた。対象は、当院患者91例の血清試料を用いた。また健常者群は当院職員219名(男性108名、女性111名)を用いた。

【結果】
(1)再現性:プール血清3濃度による同時再現性のCVは1.3〜1.4%、日差再現性のCVは4.1〜4.5%であった。

2)検出感度:低濃度検体を段階希釈して求めた検出感度は0.009μIU/mlであった。

3)実効感度:低濃度検体(n=31)を5日間測定したところ、0.02μIU/mlであった。

4)共存物質の影響:干渉チェックA(国際試薬)を用いて調べたところ、ビリルビンF16.5mg/dl、ビリルビンC16.4mg/dl、乳び2100ホルマジン濁度数、ヘモグロビン460mg/dlまで影響は認められなかった。

5)相関:RIA法との相関性は、r=0.992、y=1.181x−0.04であった。

6)参考基準値:健常者のTSHを測定し、求めた参考基準値は0.59〜3.63μIU/mlであった。

【まとめ】
本法による同時および日差再現性は良好であり、共存物質の影響も認められなかった。実効感度も0.02μIU/mlと高感度であった。また、RIA法とも相関が良好であり、日常検査に有用であると思われる。

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