第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

全自動免疫染色装置による抗酸菌染色の検討

 

◯高野友丈、牛込雅彦、池田和典、倉持しづ香、立原政徳、石川淳
郡司則雄、寺門陽子、飯島謙二(国立療養所晴嵐荘病院研究検査科)
齋藤武文(同・内科)深井志摩夫(同・外科)
森下由紀雄(筑波大学臨床医学系・病理)

 

【はじめに】

近年、免疫組織化学的手法が急速に進歩し、特異的抗体を用いることにより、多くの物質が組織切片やパラフィン切片上で検出可能となった。今回当院で導入された全自動免疫染色装置(ベンタナNXシステム)による病理組織標本の抗酸菌(BCG)染色を試みたので報告する。

 

【目的・方法】

結核症および病理組織学的に結核と思われた18症例の病理組織標本の@BCG酵素免疫染色(ベンタナNX機器使用)とAZiehl−Neelsen染色(用手法)の比較検討を行なった。BCG染色方法@脱パラフィン・水洗A内因性パオオキダ−ゼのブロキング反応4分B一次抗体反応32分C二次抗体反応8分Dポリマ−試薬反応8分E基質溶液基質試薬反応8分F安定化・核染色・分別各々2分G脱水・封入。ベンタナNXは自動染色装置であるが、抗酸菌同定・確定用専用試薬が無いため一次抗体(抗マイコバクテリウムボビス・ウサギポリクロナ−ル抗体DAKO JAPAN)を反応過程で100x希釈した抗体100μlを滴下し実施した。

 

【結果】

BCG酵素免疫染色陽性率は77.8%(1418)であり、AZiehl−Neelsen染色陽性率は38.9%(718)であった。

 

【まとめ】

ベンタナNX自動免疫染色装置では@約70分の短時間で染色が完了し、その殆どが自動化であり機器導入のメリットは大きく、A抗酸菌BCG免疫染色法とAZiehl−Neelsen染色の比較では前者がより高率な陽性像を呈示し診断・確定に有用な検査方法および機器と認識できた。

 

(連絡先 029−287−8618)