小児喀痰由来Haemophilus influenzaeの薬剤感受性成績について
○駿河洋介 郡美夫(千葉市立病院 臨床検査科)
【目的】
Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌)は小児呼吸器感染症における主要な起因菌の一つであり、近年β-ラクタマーゼ非産生性ABPC耐性インフルエンザ菌(BLNAR)が問題となっている。インフルエンザ菌のβ-ラクタマーゼ産生性およびその薬剤感受性状況について検討したので報告する。
【対象と方法】
1996年1月から2000年5月の期間、小児洗浄喀痰培養より優位に分離されたインフルエンザ菌740株を対象とした。β-ラクタマーゼ試験はセフィナーゼディスク(BBL)を用い、薬剤感受性試験は日本化学療法学会標準法に準じ、微量液体希釈法にて行った。
【結果】
β-ラクタマーゼ産生株の検出率は、全体で15.7%であった。ABPCに対する最小発育阻止濃度(MIC)が≧4μg/mlを示すBLNAR株の年次別検出率は、97年0.6%、98年4.0%、99年7.3%、2000年11.6%であった。β-ラクタマーゼ産生性ACV耐性インフルエンザ菌(BLPACR)の検出率は、全体で0.7%であった。β-ラクタマーゼ非産生株、β-ラクタマーゼ産生株、BLNAR株のCTX、CTRX、CDTRに対するMIC90は、それぞれ0.25/0.25/2、0.03/0.03/0.5、0.06/0.13/0.25μg/mlであり、BLNAR株はセフェム系薬剤に高いMIC値を示した。FRPM、PAPM、MINO、CAM、EMは各株とも感受性に特に差はなかった。NFLXは良好な感受性を示し、MIC90はそれぞれ0.13μg/mlであった。
【結果】
BLNARの検出率は、97年以降増加傾向にあり、今後、本菌の薬剤感受性の動向に注意する必要がある。
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