第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15
気送管設備を利用した検体搬送
○丸山強 勝光一 関根清美 小林恵
東本牧子 上久律子(都立墨東病院)
田中紀子(都立駒込病院)
【目的】
当院は、救急医療に重点をおく病院であり、平成11年に増改築(診療規模:病棟729床・外来患者約1400人/日)を行った。これに伴い、14階までの全館に気送管設備(SIEMANS)が整備された。
気送管による検体搬送は、緊急検査の時間短縮に有効であるため、測定値におよぼす影響について検討した。
【方法】
方法は、同一被験者(健常人)より採血した検体を14階から3階検査室に人手および気送管設備で搬送した。測定は、緊急生化学19項目を日常業務と同様の条件で実施した。状況確認は13名を対象として搬送速度6m/secで検討した。最終確認はリニアカプラーの改造を行い、搬送速度を3m/secに減速し、対象を30名で実施した。統計処理は、F検定およびt検定を用い、P<0.05を有意とした。
【結果】
1.状況確認ではLD・AST・UA・Gluの4項目に有意差が認められた。
2.リニアカプラーの改造、搬送速度の減速によって測定値に明らかな改善は認めれられなかった。
3.気送管を利用した検体搬送ではLD・ASTに上昇傾向が認められた。
4.血清検体においても同様の結果が得られた。
【まとめ】
1.気送管設備による検体搬送では、測定値に影響が認められた。
2.原因としてはリニアカプラー通過時の衝撃が考えられ、衝撃を緩和する改造を行なったが明らかな改善は認められなかった。
3.搬送時の省力化・時間短縮を考慮し、臨床と協議を重ね、条件付きで使用する。
4.今後はSIEMANS社と協議し、気送子に改良を加え検討を継続する。
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