第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15
簡易血糖測定器「アドバンテージU」の基礎的検討
○阿藤泉 青木義政 吉澤亜弥子
坂口恵理 田中みゆき 亀子光明
(長野市民病院臨床検査科)
【目的】
固定化酵素にglucose dehydrogenaseを用いた電極法簡易血糖測定器「アドバンテージU」(山之内製薬)の基礎的検討を行い、血糖自己測定(SMBG)への有用性を評価した。
【方法・結果】
1. 再現性, 機種間差:5台の装置を用い、約20,
100, 450 mg/dlの3濃度の試料を各々10重測定したときのCVは7.3〜9.0 %, 2.2〜3.6 %, 1.3〜2.5 %であった。
2. 測定範囲: 30〜600
mg/dlで測定可能であった。
3. Htの影響:Htを20〜60
%まで変化させた試料では影響を認めなかった。
4. 環境温度の影響:4〜40℃では影響を認めなかった。
5. 溶存酸素の影響: 酸素分圧40〜570 mmHgで影響を認めなかった。
6. 共存物質の影響:溶血,
黄疸, 乳び, フルクトース, キシリトール, ラクトース, ガラクトース およびスクロースの影響は認められなかったが、アスコルビン酸, 尿酸, およびマルトースでは添加量の増加に伴い正の影響を認めた。
7. 相関:静脈血でのH-7250(HK法)との相関は、回帰式y=1.05x−13.1, 相関係数r=0.995であった。
【まとめ】
glucose
oxidaseを固定化酵素に用いた従来の電極法簡易血糖測定器では溶存酸素の影響が指摘されているが、本器では酸素存在下における測定値の低下は認められなかった。しかし、マルトースの影響を受けることが明らかとなり、これを含む輸液点滴中の患者では注意を要する。
簡易血糖測定器の需要がますます高まる中、基礎性能に優れ、独特の形状により非常に扱い易くなっている本器はSMBGに有用であると考えられる。
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