第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

医療改革と医学検査  ―21世紀への展望・2000年宣言―
   学術の立場より

        社団法人日本臨床衛生検査技師会 副会長 村瀬光春

 21世紀に向けて国民が安心して社会生活ができるように、また良質の医療を公平に受けられることを目指して保健医療提供システムや医療保険制度、年金制度、福祉制度などの医療改革が現在進められている。このような構造の変革の中で臨床検査技師の果たす役割を一人ひとりが認識し、医療チームの一員として医療に貢献することが求められる時代になってきた。 社団法人日本臨床衛生検査技師会の定款第3条に、「この会は、臨床検査技師及び衛生検査技師の学術技能の研鑽発展、及び医療並びに公衆衛生の向上を図り、もって国民の健康保持、増進に寄与することを目的とする。」とあり、その目的を達成するための学術事業が明記されている。

 今回私に与えられたテーマは学術の立場より展望することであり、日本臨床衛生検査技師会の学術的事業を中心に述べる。

1.学術事業

 学術事業を達成するために以下の3部門がそれぞれ各事業を企画実行している。

 1)生涯教育部門:学会に関すること、関連学会に関すること、研修に関すること

 2)研究調査部門:精度管理事業に関すること、標準化事業に関すること、研究班に関すること、その他研究調査に関すること

 3)出版部門:会誌編集に関すること、出版事業に関すること、内外文献に関すること、その他出版に関すること

2.展望

 基本理念としては倫理綱領に従って学術の研鑽に励み、高い専門性を維持することに務めることであり、会員への学術支援システムの構築である。

 職能と学術が両輪となって発展することを組織として取り組んでおり、さらに充実させた企画運営を目指す必要がある。その一つとしては学術団体として公に認めてもらうことであり、現在特許庁からは学術団体として認可されているが、さらに日本学術会議への登録が必要である。その意味からも現在の学術部門の各種事業は不可欠な要項である。とくに全国学会をはじめとして各種研修会、精度管理事業、標準化事業、会誌の発刊等は、ますます大きな役割になることが考えられる。それも地区との綿密な連携のもとに機能的な企画運営がされ、良質で信頼される事業を会員に還元し、その結果として国民への良質な医療が提供できるものと考える。さらに平成12331日現在の会員の構成をみると総会員数46,676名のうち総合病院・一般病院に勤務する会員数が28,024名(60.0%)、病床数300床未満の施設の会員が21,885名(46.9%)を念頭において企画運営することに心掛ける必要がある。

 臨床検査技師の価値を高めるためには、変革する医療制度を認識しつつ医学及び医療の知識と技術の修得を常に心掛けることが不可欠であり、これは臨床検査技師を続けるかぎり生涯続くものであろう。そのために日臨技はそれらの機会を組織として作り、企画運営をしていくことに存在価値がある。そして今後さらに増すであろう数々の要望に対応していかなければならない。