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多臓器移植における組織適合検査システムの現状について 〜第一報〜
○野田 岳、山崎 正明、飯田 好江、大脇 佳則、椎津 稔、酒巻建夫(国立佐倉病院 臨床検査科 組織適合検査室)
【はじめに】本年度に入って脳死からの心臓、肝臓などの多臓器についても移植が行われ、移植医療は急速な進展を迎えようとしている。当院は(社)日本臓器移植ネットワークのHLA総合センターとして指定されており、平成9年度より、多臓器移植においての各種HLA検査業務および登録患者の血清管理業務を行っている。今回、それらについての業務紹介、および平成11年5月に当院にて行われた脳死からの腎臓移植の実際について報告する。
【移植ネットワーク】(社)日本臓器移植ネットワークは腎臓移植の他に、心臓、肝臓、膵臓、肺移植等の多臓器希望患者(Recipient)の取り扱いおよび献臓予定者(Donor)発生時におけるRecipient選択、関係施設・機関との調整を行っている。
【HLA総合センターの役割】@全国共通タイピングトレイ(JNOS)の作成・配布・データのリアサイン、HLA検査に関する教育・研修・情報の提供。A千葉県下における移植希望Recipientに関するHLA検査業務項目:血清学的HLA型タイピングおよびDNAタイピング、血液型(ABO式)、既存抗体(PRA:Panel Reactive Antibody)検査、検体の保存(血清、DNAなど)BDonor:同上のタイピング、リンパ球直接交差試験、各種感染症、生化学検査等。
【脳死よりの臓器移植】平成11年5月、本邦において2例目となる脳死からの腎移植が当院で、行われた。この移植に係わるHLA検査および諸検査等をタイムテーブルと合わせて紹介する。
【まとめ】本邦においても脳死臓器移植が行われ、今後、増加が考えられる。当院としてもHLA総合センターとして各種業務等について、一層のレベルアップが求められる。