汎用自動分析装置での高感度CRPラテックス測定試薬による基礎的検討
○日色 順子、早乙女 綾子、飛留間 昌子、佐久間 幸枝、伊東 功江、田中 章俊
土井 裕一、野上 由紀子、高橋 英則 (総合病院 国保旭中央病院 中央検査科)
【目的 】C反応性蛋白の高感度測定(H-CRP)は、特に新生児の感染症の早期診断の指標や、抗生物質の投与日数の減少に有用な情報を提供する。今回我々は、新しく開発された汎用自動分析装置用ラテックス凝集比濁法試薬(LIA)で基礎的検討を行い、若干の知見を得たので報告する。
【検討内容・結果 】自動分析装置AU640(オリンパス社)を使用し、試薬はLA CRP-Hニットーボー(ニットーボー社)を用い、日臨技指針JAMT-CEP1-97に従い検討した。
@精密さの評価:日内・日差反復測定、ランダマイズ2回測定は、許容誤差限界(SP/2)内であった。A正確性の評価:3種の血清標準物質を用い、平均値の傾きを求めた。比例系統誤差を認めたが、医学的意思決定濃度における評価は、5%未満であった。B比較評価:当院入院中の新生児および成人患者血清で数日間、日常法との直線関係式を求めた。良好な相関だった。C干渉物質の影響:干渉チェックAプラス・RF(国際試薬)イントラファットを用いた干渉物質の影響は、認めなかった。D最低検出濃度:低濃度(210μg/dl)のプール血清を生食にて段階希釈し10重測定後、ブランク値と識別可能な濃度を求めた。最低検出濃度は10μg/dlだった。Eプロゾーン:患者血清(3300μg/dl)を段階希釈し、プロゾーンの有無を調べたが、プロゾーン現象は認めなかった。Fクロスコンタミネーション:キュベットとプローブにおいてコンタミの有無を調べた。他項目間とのクロスコンタミは認めなかった。G直線性:高濃度(1000μg/dl)の試料を生食で段階希釈した。良好な直線性が得られた。
【考察・まとめ 】本試薬を汎用自動分析装置で基礎的検討を行った結果、いずれも良好な成績が得られた。懸念されたクロスコンタミもなく、採血量が微量な新生児への情報提供が迅速可能となった。以上のことにより、汎用自動分析装置によるH-CRPは、臨床的有用性が高いと示唆された。