日本臨床化学会尿酸測定勧告法に用いる除蛋白操作での回収率誤差の確認
藤原恵子、真々田賢司、伊藤順子、大澤 進、野村文夫(千葉大学医学部附属病院 検査部)
【目的】日本臨床化学会(JSCC)尿酸測定勧告法は、トリクロロ酢酸で除蛋白をした後、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて測定する方法である。その除蛋白操作の際、福祉・医療技術振興会の含窒素・グルコース標準血清認証書によると、未回収の部分が4%あると指摘されており、それを検証するため今回検討を行った。
【機器と試薬】HPLC装置は、島津製作所製LC-6Aシステムを使用した。カラムは、野村化学のODS-HG-5(ODSカラム)を用い、操作法はJSCC尿酸測定勧告法に従った。また、除蛋白を行わない対照法として当院日常検査法のUricase-POD法(セロテック)を用い、日立7600-210形自動分析装置により同時測定を行った。
【方法】プール血清9容に対し尿酸標準液1容を加え、添加回収試験を行った。
添加標準液(被添加濃度)は、30(3.0)、40(4.0)そして60(6.0)mg/dlで、それぞれ除蛋白を行った後、JSCC勧告法で尿酸を測定後回収率を求めた。さらに、蛋白濃度の異なる新鮮患者血清10試料を用いて同様の試験を行った。
【結果】1)プール血清に3濃度の標準液を添加して求めた回収率は、94〜98%(平均96.0%)となった。 2)新鮮患者血清10試料を用いて求めた回収率は、95〜101%(平均96.9%)であった。 3)JSCC勧告法とUricase-POD法のそれぞれの測定値を比較すると、標準液では両者に差が見られなかったが、除蛋白を行った患者試料の場合は、前者の方が約4%低値傾向にあった。
【考察および結語】JSCC尿酸測定勧告法は、除蛋白操作の際4%の回収率誤差を伴うと考えられる。従ってJSCC尿酸測定勧告法を用いて信頼性のある測定値を得るには、回収率4%の誤差を補正する必要がある。
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