尿検体における膀胱腫瘍マーカーの検討
○古谷 公英 中澤 武司 川島 徹 川畑 貞美 (順天堂大学浦安病院)
【目的】今回我々は,ラテックス凝集反応により膀胱癌患者の尿中に存在する膀胱基底膜由来蛋白断片複合体(Bladder Tumor Antigen,以下BTAとする)を検出するバードBTA(メディコン社)を実施し,膀胱腫瘍マーカーとしての有用性を検討したので,ここに報告する.
【対象と方法】対象は平成11年1月から10月までに提出された膀胱腫瘍疑いの尿298検体について,尿細胞診の結果と比較し,病歴調査を行った.バードBTAは添付書の手順に従い実施した.
【結果】検討対象とした298検体において,バードBTA陽性は34検体,23症例認めた.この34検体における尿細胞診の結果の内訳は,classTが2例,classUが25例,classVが2例,classVaが2例,classVbが1例,classXが2例であった.また陰性となった264例における尿細胞診の結果の内訳は,classTが86例,classUが170例,classVが1例,classVaが5例,classVbが1例,classWが1例であった.なお,バードBTAが陽性となった34検体,23症例の病歴の調査では,すべてが再発を含む膀胱腫瘍患者であった.
【結論】今回の検討で,尿細胞診がclassTやUであってもバードBTAが陽性となった症例が27例あり,逆にバードBTAが陰性でもclassV以上が8例認められた.しかしバードBTAが陽性となった23症例すべてが膀胱腫瘍患者であったことを考慮に入れると,これらの患者を精査する上で膀胱腫瘍マーカーとなる重要な検査法に成り得ると思われる.
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