ホルター心電図で発作性上室性頻脈と診断され、カテーテルアブレーションを施行した1例
○藤代洋子、船渡川勝康、竹内晴美、朝田寧子、松本 稔、本島直子、高橋英側
(総合病院国保旭中央病院 中央検査科)
(はじめに)
ホルター心電図検査は、一過性の不整脈や虚血の診断に有用であることは広く知られている。発作性上室性頻脈(以下PSVT)は、心拍数が突然増加し、ある期間持続したのち正常に戻る不整脈であり、日常の心電図検査の中で遭遇する機会は非常に少なく、記録が困難なことが多い。
今回我々は、動悸を主訴としてホルター心電図を行いPSVTの存在が確認されたことを契機に、カテーテルアブレーションを施行した1例を経験したので報告する。
(症例)
患者:21才女性 主訴:動悸
既往歴:幼児期に不整脈を指摘
現病歴:2年前飲酒後、動悸が出現。その後3日おきに起こるようになり近医受診。ホルター心電図にてVT様波形が見られ当院を紹介され、精査目的で当院受診。
(検査所見)
心電図は洞調律、PQ短縮なくデルタ波も見られなかった。心エコー上も、器質的異常を認めず、心機能は良好であった。胸部レントゲンでは、心拡大、肺うっ血はなかった。
ホルター心電図を施行したところ、動悸に一致し心拍数200/msecのPSVTが記録され、この波形より言わゆるAVRNTが推測された。
(まとめ)
カテーテルアブレーションの普及でPSVTの根治的治療が期待できるようになってきた。したがって、動悸を主訴とする患者では、発作時の心電図の意義を十分認識する必要がある。今回、ホルター心電図のみでPSVTを捕らえたことは、臨床的意義が大きかったと思われた。