妊婦同種抗体スクリーニングの検討
◯千木良 紀子、金子泰代、代市 陽子、川島 徹 川畑 貞美(順天堂大学浦安病院)
【目的】
新生児不適合妊娠の主な原因とされている同種免疫性抗体は、母親が妊娠や輸血により抗体産生された結果胎児に影響を及ぼすと考えられる。同種免疫抗体は,主として4種類あり、・抗ABO血液型(ABH)抗体、・抗Rh型(Rho)抗体、・抗ヒト白血球抗原(HLA)抗体、・R血小板(HPL)抗体などが特に注意する抗体としてあげられる。今回、われわれは、同種免疫抗体のスクリーニングを行いその影響について検討し、若干の知見を得たのでここに報告する。
【方法】
・ABH抗体は、特にO型妊婦においてハイリスクでありクームス法での胎盤通過性の抗体測定を測定した。・抗Rh型(Rho)抗体、ブロメリン法による初期抗体の確認とクームス法による抗体価測定を行った。・Rヒト白血球抗原(HLA)抗体、・抗血小板(HPL)抗体は、MPHA法にてスクリーニングを行った。
【結果および考察】
・ABH抗体は、特にO型妊婦においてクームス法で1024倍以上の抗体価は,注意が必要である。また高力価を示した症例においては、臍帯血の検索が重症度の把握に有用である。_抗Rh型(Rho)抗体については、ヒトグロブリン予防投与を実施しているため近年症例は、出ていない。・抗ヒト白血球抗原(HLA)抗体は、妊婦の14.6%においてクラス_抗体の存在が認められた。・抗血小板(HPL)抗体は、MPHA法にてスクリーニングした結果、不顕性ではあるがPHA-5b抗体が800例中10例に認められHLAクラス・抗原であるDR6抗体との関係の追跡が今後の課題と考える。
【結論】
母体血液による新生児同種抗体のスクリーニング検査は,病態変化しやすい新生児の病状把握に有用であると考える。
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