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CD56陽性急性非リンパ性白血病(ANLL)症例の解析

◯武藤 由香子、永野浩、山本 雅彦、高田 浩子、松林 恵子、麻生 裕康(千葉県がんセンター臨床検査部)

【はじめに】
近年、急性骨髄性白血病(AML)の一部にNK細胞関連マーカーとされるCD56の陽性例が確認され、これに加えてCD7,33,34が陽性、POX陰性のMyeloid/NK cell precursor acute leukemiaが新たな独立疾患として提唱されている。今回、我々は当センターでANLLと診断された症例のCD56に注目し、陽性例と陰性例の各種抗体の反応性について比較検討したので報告する。

【対象および方法】
1997年4月〜1999年11月までに当検査部に提出されたANLL 34例(M1 2例,M2 15例,M3 1例,M4 3例,M5b 3例,M7 1例,二次性白血病,CML-Blastic crisis(CML-BC),TMDS-AMLを合わせて9例)を対象とした。方法は、FCM法で20%以上、あるいは免疫化学染色法で陽性所見が得られたものを陽性と判定し検討した。

【結果および考察】
CD56はANLL 34例中10例(29.4%)で陽性であり、その内訳を見るとM5bの3例(100%),M2 4例,M1,CML-BC,二次性白血病の各1例であり、M3,M4,M7,TMDS-AMLの症例には見られなかった。その他の表面マーカーでは、CD13,33は双方に差が見られなかったが、CD34はCD56陽性群で8例(80%)、陰性群では14例(58%)で陽性を示した。また、CD7は陰性群では10例(41.6%)で陽性であったが陽性群ではCML-BC,M2、二次性白血病の各1例(30%)に留まった。この二次性白血病の1例はホジキン病からAMLが発症した例であり、本例の白血病細胞はペルオキシダーゼ反応が陰性であった為、リンパ系の白血病も疑われたが、CD4,7,13,

33,34,56,HLA-DRが陽性であり、既報の論文のMyeloid/NK cell precursor acute leukemiaの概念にほぼ合致する症例であると思われた。また、CD56陽性群では陰性群に比し染色体異常が高頻度に出現する傾向を認めたことからCD56発現と染色体異常との関連性が示唆された。

連絡先:043-264-5431