戻る

ループス抗凝固因子検出用試薬LAテスト「グラディポア」の基礎的検討

○竹下理恵子、林裕子、山本修一、児玉明好、畠山靖子、高木春枝、大山正之、菊野薫、野村文夫 (千葉大学医学部附属病院検査部)

【はじめに】ループスアンチコアグラント(LA)はリン脂質または凝固因子とリン脂質との複合体に対する自己抗体であり、主にAPTTにおいて凝固時間の延長をきたす。今回、LAテスト「グラディポア」(MBL社)について基礎的検討を行い、加えて4種類のAPTT試薬と比較検討を行ったので報告する。

【材料および方法】LA測定用試薬2種(「グラディポア」、「STACLOT-LA」)、APTT測定用試薬4種の同時再現性を、健常人プール血漿とAPTT延長検体の2種類で検討した。次に、ヘパリンとリウマトイド因子が「グラディポア」の検査結果に及ぼす影響を検討した。更に、正常検体24検体、APTT延長の認められた95検体を上記6試薬で測定した。なお、測定にはKC-10A(Baxter社)を使用した。

【結果および考察】全試薬での同時再現性は正常検体において良好な結果を示した。ヘパリンとリウマトイド因子の影響をみたところ、「グラディポア」、「STACLOT-LA」両試薬において影響は認められず、APTT試薬ではプラテリンLSのヘパリンに対する高い感受性を認めた。「グラディポア」におけるLA陽性率はAPTT延長患者95検体中の約16%であった。また、「グラディポア」陽性15検体中、STACLOT- LAでも陽性を示したのは7検体であった。「グラディポア」と4種のAPTT試薬との比較では、どの試薬とも「グラディポア」と有意な関係が認められず、陽性、陰性に関わらず延長を認めた。APTT延長によりLAを検出できる可能性はあるが他の延長をもたらす要因との十分な識別が必要であると言える。

【まとめ】今回の検討によって、「グラディポア」がヘパリン等に影響を受けずにLAを検出できる手段のひとつである事が分かった。しかし、判定時に問題となる境界領域(ボーダー)については、更に検討する余地があると思われる。