第22回千葉県臨床衛生検査学会抄録(平成13年2月11日開催)



ARCHITECTによるFreeT3測定試薬の基礎的検討

○北村登 坂元美智代 羽田真理子 清宮朋子 山本麻弓 須田和子 麻生裕康(千葉県がんセンター臨床検査部)

今回我々は化学発光免疫測定(CLIA)法を原理とする「ARCHITECT FreeT3」(ダイナボット社)の基礎的検討を行ったので報告する。
<方法及び結果>
同時再現性(n=30);control試料(表示値2.0〜4.1pg/ml)では,CV=2.91%と良好であった。
日差再現性(n=14);3濃度のcontrol試料(L;3.1 M=6.0 H=10.5pg/ml)では、CV=2.0〜3.0%と良好な結果を得た。
従来法との相関;患者検体(n=43)及び健常人検体(n=24)を用いて従来法であるAXSYMとの相関を求めたところr=0.622 y=0.553x+0.81となり、ARCHITECTで低値の傾向が見られた。そこで、標準液について次のような検討を行った。以下単位はpg/ml( )内は表示値とする。6濃度のAXSYM標準液をARCHITECTで測定した結果、各々<1.0(0.0)、<1.0(1.4)、3.0(3.5)、5.4(7.0)、10.7(15.0)、14.0(30.0)となった。また逆に、ARCHITECT標準液をAXSYMで測定すると、0.3〜0.9(0.0)及び3.7(3.5)となりARCHITECTで低値の傾向が見られ、前述のAXSYMとARCHITECTの相関を裏付ける結果となった。
<まとめ>ARCHITECTによるFreeT3測定はAXSYMに比べ同時再現性ならびに日差再現性において良好な結果が得られたが、従来法との相関においてはARCHITECTによる測定値は明らかな低値傾向を示し満足な結果は得られなかった。また、AXSYM標準液とARCHITECT標準液を交叉測定した結果から、測定法により、標準液の濃度設定ならびにキャリブレーションポイントの設定が異なるためデータが大きく変わってしまう。免疫血清分野におけるデータの統一化が必要と考える。
043(264)5431内3751

制作・著作:社団法人千葉県臨床衛生検査技師会