第22回千葉県臨床衛生検査学会抄録(平成13年2月11日開催)



唾液腺腫瘍細胞診の鑑別点
−粘液球・硝子球と篩状構造−

○ 小野寺清隆 小山芳徳 松永江利子 
 安達純世 花見恭太 牛木志保 麻生晃
(帝京大学医学部附属市原病院 病理部)

 唾液腺腫瘍は、他の臓器と比較して、特徴的な細胞像・組織像を示すものが多く、通常その特徴をとらえることにより診断を行なっている。しかし、特徴像は、ひとつの疾患に限って見られるものではなく、良性・悪性を含め、いくつかの疾患の部分像として現れることもあり、鑑別に苦慮することが少なくない。
 そのひとつとして、粘液様・硝子様物質を伴う小嚢胞状腔を多数含む篩状構造が挙げられる。これは、Papanicolau 染色で中空状ないしライト緑に淡染性、Giemsa 染色で赤紫色に異染性を呈する粘液様・硝子様球状構造物を、N/C比の高い小型の腫瘍細胞が取り囲む像として観察され、腺様嚢胞癌を特徴づける所見である。
 しかし、基底細胞腺腫や基底細胞腺癌では、しばしば篩状構造が見られるほか、上皮−筋上皮性癌では粘液球の出現、多形腺腫で著明な硝子化を伴った場合などは、鑑別が重要となる。その際、構成する細胞の特徴・種類や、配列・結合性などを注意深く観察する必要がある。
 今回、我々が今までに経験した症例のうち、粘液球・硝子球の出現や篩状構造を認めた症例について、その鑑別点を中心に細胞像と組織像の比較・検討を行なったので報告する。




       連絡先0436-62-1211 内線1263
病理検査業務支援の為のオリジナルファイリングシステムの構築

○浪川正行 宮島操 五十嵐信之 蓼沼好市
 伊藤和男(社会保険船橋中央病院)

【はじめに】最近,様々な学会等で病理検査システムに関する報告がされているが,病理検査室に関らずシステムには多くの費用がかかってしまう為,購入は難しい。そこで今回我々は,市販のソフトを用いて病理検査業務支援のプログラムを構築したので報告する。
【目的】我が社会保険船橋中央病院病理検査室は,組織診断においては年間約5500件の依頼があり,ここ数年,毎年一割弱の伸び率である。また,免疫染色の必要性が高まり一検体あたりに費やす時間も増加している。そこで受付業務をシステム化する事により,今までの人数でも毎日の業務に支障の無いようにこなす事を第一の目的とした
【方法】OS:Windows,使用ソフト:Microsoft Access97,プリンター:OKI MICROLINE,FUJITSU レーザープリンターを使用。端末5台をLAN:ピュアトゥピュア型,イーサネット:10BASE−T(スター接続)で構築。バックアップメディア:MO(640MB),CD−RWで行う。
【結果】受付業務をシステム化する事により,ラベル印刷・台帳印刷・及び結果の問合せ等大変迅速に行えるようになった。また前回検索をスムーズに行う事により,見落とし等を最小限に防ぐ事が出来た。
【結語】今回のシステムは,市販のデーターベースを用いた手作りのシステムであり,費用を極力抑える事が出来た。更に日常の臨床及び病理検査室のニードを充分満たす事が出来た。

連絡先047(433)2111(内線2606)

制作・著作:社団法人千葉県臨床衛生検査技師会