第22回千葉県臨床衛生検査学会抄録(平成13年2月11日開催) |
悪性リンパ腫治療後にAML(M5a)を発症した一症例 ○岡沢恵美子 久代真也 五十嵐正子 脇田智恵子 伊藤和男 (社会保険船橋中央病院検査部) 【はじめに】悪性リンパ腫からリンパ球系への白血化は良く知られているが、今回当院で寛解後再発し、AML(M5a)を発症した症例を経験したので報告する。 【症例】70歳、女性、平成9年9月腹満感あり近医受診。 直腸ポリ-プと貧血を指摘され、精査、治療目的にて当院受診。 直腸、十二指腸原発の悪性リンパ腫の診断を受ける。 【経過】Diffuse medium B cell stageU AEにてCHOP 6コ-ス施行し寛解に至り、以後外来でエトポシド少量にて加療していた。 平成11年1月よりIL-2レセプタ-上昇傾向にあり、同年11月再発を確認されるが、エトポシドにて外来経過観察を続ける。平成12年7月発熱と腹満感あり、症状悪化の為、入院となる。 【検査所見】末梢血:WBC123×102/μl、Hb6.7g/dl、血小板12.8×104/μl、血液像に芽球様異型細胞51%出現、LDH 505IU、CRP18.00mg/dl、リゾチ-ム97.0μg/ml、IL-2レセプタ-1760U/ml。 骨髄:NCC 22.6×104/μl、大型で広い細胞質を有するBlast86.6%、POX(-)、ESα-NB(±)〜(+)、ES-ASD(±)、PAS(-)、表面マ-カ-CD11c、CD15、CD33、CD56、CD64、CD65、CD71、HLA-DR陽性。 染色体分析:45,X,-X,add(1)(P36),t(9;11) (P22;q23)。骨髄生検における免疫染色では、LCA(-)、L-26(-)、KP-1(+)、PG-M1(+)であった。 【結語】悪性リンパ腫治療後の二次性AML(M5a)の一例を経験した。 末梢血液像での異型細胞出現は悪性リンパ腫の浸潤を疑うものであったが、骨髄細胞の免疫染色、表面マ-カ-よりM5aと考えられた。 連絡先 047-433-2111 (内2602) |
凝固異常をしめした骨髄腫の一症例 ○吉田隆 高師紀子 関川由里子 高橋美加子 三橋裕行 桑田昇治 木野内喬 (帝京大学医学部附属市原病院中央検査部) 【目的】多発性骨髄腫治療中に凝固異常をしめした症例を経験したので報告する。 【症例】48才男性 主訴:腹部痛、発熱 既往歴、家族歴:特記すべきことなし。理学的所見:血圧134/84、脈拍84/分、体温39.6℃、両側頚部リンパ節腫脹(+)。現病歴:1999/7/10他院より高γ-グロブリン血症にて当院内科受診。精査により多発性骨髄腫(IgG-λ)と診断され、7/30よりMP-E療法を行い改善される。8/16退院、以後外来にてフォロー中であったが、同年11/17同主訴により救急外来受診、即入院となる。 入院時検査所見:RBC217×104/μl、Hgb5.9g/dl、Ht18.9%、MCV86.8fl、MCH27.0pg、MCHC 31.1%、PLT10.6×104/μl、WBC7900/μl、BLDT 10分以上、PT17.4秒(44.4%)、APTT27.5秒、FIB406.0mg/dl、AT-V83%、PLG102%、α2PI 94%、FDP8.3μg/ml、TP9.4g/dl、Alb2.1g/dl、AST44U/l、ALT19U/l、LDH745U/l、Alp296 U/l、Amy66U/l、CK647U/l、BUN13.7mg/dl、 CRE0.9mg/dl、Na140mEq/l、K4.8mEq/l、Cl 101mEq/l、Ca7.8mg/dl、CRP26.4mg/dl、血液培養ではPRSP(+)、また遠心分離において血清部分は寒天状となり、分離が困難で血清分離剤との逆転現象が認められた。 経過:腹部CTにおいて解離性大動脈瘤が指摘され、手術目的で外科に転科となるが、凝固異常は改善されず、手術適応には至らなかった。 【まとめ】多発性骨髄腫のM蛋白は様々な測定妨害作用があることが知られている。本症例は、凝固異常の原因が追求しきれなかった症例であるが、γ-グロブリン抽出による添加補正試験等では、γ-グロブリンの影響は否定的であった。 0436-62-1211(内1206) |
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制作・著作:社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 |