第22回千葉県臨床衛生検査学会抄録(平成13年2月11日開催) |
インターフェロン投与の副作用で骨髄造血障害を認めた一症例 ○関川由里子 高師紀子 高橋美加子 吉田隆 三橋裕行 桑田昇治 木野内喬 (帝京大学医学部附属市原病院中央検査部) 【目的】今回われわれはC型慢性活動性肝炎患者のインターフェロン(以下IFN)投与中に骨髄造血障害と考えられる検査所見を認めた症例を経験したので報告する。 【症例】29才女性 主訴:倦怠感 既往歴:慢性膵炎、その他特記すべき事なし 家族歴:特記すべき事なし 理学的所見:身長153cm、体重40.5kg、黄疸・肝脾腫(-)、表在リンパ節腫脹(-)、血圧132/80、脈拍118/分整 初診時検査所見:血算―RBC448×104/μl、Hb13.2g/dl、HT42.3%、PLT35.3×104/μl、WBC8600/μl生化学―T-BIL0.6mg/dl、AST55IU、ALT91IU、LDH314IU、CRP<0.3mg/dl 経過:IFN治療を開始して1ヶ月後に血尿、LDH上昇、汎血球減少を認めたためIFN治療を中止した。しかし貧血の改善は鈍く、血清鉄も206μg/dlと高値であり血液疾患も否定できないために骨髄穿刺を施行した。 骨髄像検査:有核細胞数324000/μl、巨核球数30/μl、Myeloid40.5%、Erythroid45.4%、M/E比0.89赤芽球の増加を認めるが芽球の増加および赤血球、顆粒球、血小板の形態異常は認められなかった。 【まとめ】汎血球減少、LDH高値、血清鉄高値などからMDS、溶血性貧血などの血液疾患を疑ったが、IFNの影響による骨髄造血障害であると考えられた症例であった。IFNにはさまざまな副作用が出現するため、今後IFN投与患者の検査データの推移は注意をして、臨床側と連携していく必要があると思われた。 0436-62-1211(内1206) |
EDTA依存性偽血小板減少症に対する血糖用採血管(FC管)の応用 ○ 高田浩子 永野浩 山本雅彦 武藤由香子 松林恵子麻生裕康 (千葉県がんセンター) EDTA依存性偽血小板減少症は、EDTAによって血小板凝集が惹起され、血小板数や白血球数に偽の値を示すことで知られているが、その原因や病態との関連性は明らかとなっていない。また、この現象はカナマイシン添加によって阻止が可能との報告もあるが、通常業務に応用している施設は少ない。当センターでは、FC管を導入して数年が経過したが、今回は、これまでの利用状況とその効果について報告する。 【対象および方法】1999年4月から2000年10月までに、本症を示す検体のうち、EDTA-3KとFC管(テルモ社製)で採血できた22症例について、自動血球測定装置のSTKSまたはGEN・S(ベックマン・コールター社製)で直後及び60分後に測定を行い、その変化について比較した。通常業務では、全ての検体に対して前回値比較を行いスキャタープロットやフラッグをチェックし、血小板凝集が疑われる検体は塗抹標本作成による確認を行っている。今回の対象検体も、これらのチェックによって発見されたものである。また、同時にヘパリンや、チトラートで採血できた症例についても比較検討を行った。 【結果及び考察】EDTA-3KとFC管での血小板数の経時変化を比較すると、FC管採血では殆どの症例で60分後でも有意な変化が見られず、凝集像も見られなかった。しかし、血小板に偽足様の突起物が見られ、MPVが高値となる傾向が見られた。また、対象とした22症例中、FC管で凝集を示す症例が1例認められたことから、FC管が全ての症例に有効ではない可能性もあると思われた。 本現象を示す症例での血小板数の測定には、市販されている抗凝固剤の中ではFC管が最も有効であるが、標本による血小板凝集の確認も重要であろうと思われた。 連絡先:043-264-5431 |
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制作・著作:社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 |