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骨外性粘液型軟骨肉腫の一例
○酒井えり 玉山千恵子 小高亜紀子(千葉県がんセンター臨床病理部)
〔はじめに〕骨外性粘液型軟骨肉腫は40〜60代の四肢、深部軟部組織に発生する腫瘍である。今回、大腿部に骨外性粘液型軟骨肉腫を経験したので報告する。
〔症例〕55歳男性 半年前より、右臀部腫瘤を自覚、次第に増大し、当院紹介となった。入院後CT下で針生検、同時に捺印細胞診を行った。その後、広範囲切除術が施行され、現在経過観察中である。
〔細胞所見〕生検の捺印では、粘液基質を背景に緩やかな結合を持つ類円〜紡錘型の腫瘍細胞が、小集塊〜散在性に多数認められた。核は類円〜紡錘形で、クロマチンは繊細、核溝と小型の核小体が1個程度みられ、細胞質はレース状、ライトグリーン好染性であった。細胞像から「悪性(非上皮性、粘液型)」と判定した。切除組織の捺印では、一部の腫瘍細胞の細胞質にPAS反応陽性顆粒をもつ細胞も見られた。
〔組織所見〕境界明瞭な6.5X5.0X6.5cm大の筋肉内結節腫瘍であった。組織では粘液基質を背景に核小体の目立つ類円核と好酸性の胞体を持った短紡錘〜類円形の腫瘍細胞が索状、網目状、部分的にシート状にみられた。細胞密度は全般的に低く、多形性に乏しく細胞分裂像も少なかった。一部を軟骨様と判断し、骨外性粘液型軟骨肉腫と診断された。
〔考察〕細胞診判定において、骨外性粘液型軟骨肉腫を示唆する所見がみられたが、「粘液型の肉腫」と判定したのみで組織型を特定するには至らなかった。発生部位・年齢・粘液性背景と類円〜紡錘形細胞の出現・核溝、核小体、微細なクロマチン等の細胞所見から充分本腫瘍を推測する事は可能であったと考える。
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