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拡張型心筋症に弁輪形成術を施行し心臓超音波検査にて経過観察を行った1例

○船渡川勝康 藤代洋子 高根晴美 松本稔 朝田寧子 高橋英則(国保旭中央病院中央検査科) 月原弘之 樋口和彦(同心臓外科)

【はじめに】拡張型心筋症(以下DCM)は予後不良であり心移植の適応となる例もある疾患である.今回弁輪形成術のみを施行した例において心臓超音波検査(以下UCG)で心収縮能,特にパルスドプラ法による1回拍出量(以下SV)の評価とあわせて心筋重量も経過観察中に計測し若干の知見を得たので報告する.

【症例】59歳男性.10年前よりCHF,MR,Afの診断にて近医通院中であった.2001年12月より呼吸困難出現,当院内科紹介受診し,NYHA ClassIVにて入院となった.UCGにてDCM,MRIV度,TRsevereと診断され,心臓外科に転科,手術となった.

【経過】UCGによる術前検査ではEF39%,SV20ml,MRIV度,TRsevere,心筋重量293gであった.術後5ヶ月ではEF27%,SV87ml,MR−,TRtrace,心筋重量268gとなり,SVの増加がみられ,NYHA ClassIとなった.

【考察とまとめ】DCMのUCG所見として,左室の拡張とびまん性壁運動低下,更にMRの合併が多い.また,臨床的に低心拍出を呈する.本症例においては,僧帽弁輪,三尖弁輪形成術のみを施行しSVの著明な増加を認めた.心筋重量に関しては観察期間も5ヶ月と短期間であり明らかな変化は認めなかった.一般的に心機能の指標にEFを用いるが,今回の場合EFが改善しないにもかかわらずMRを軽減することによりSVの増加を認めた.SVの増加が心機能の変化および症状の改善に相関すると考えられた.

0479-63-8111