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心肥大における加算平均心電図の意義

○浅野美紀 松本泰典** 多田美和 高橋章予 竹田祥子 山本修一 谷明子 真々田賢司 大澤進 米澤真頼** 野村文夫*
(千葉大学医学部附属病院検査部,千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学*,千葉大学医学部附属病院第三内科**

【はじめに】心肥大は、突然死の原因となる心室性不整脈に関与することが知られている。加算平均心電図による心室遅延電位(LP)は心筋梗塞における心室頻拍(VT)との関連性については良く知られているが心肥大に関しては十分知られていない。今回、心肥大例に加算平均心電図を施行し、心室頻拍との関連について検討したので報告する。

【対象及び方法】当院にて心エコー上、肥大のある患者14例(男12例、女2例、平均年齢66.0歳、内訳は肥大型心筋症9例、高血圧性心疾患4例、Fabry病1例)に加算平均心電図を施行した。方法は、Simson法に準じ、誘導はX,Y,Z誘導を したvector magnitude波形、R波同期(トリガー)、加算回数は250心拍、40〜250Hzのband pass filterを用いDenesの基準で判定し、3連以上のVTを有する群(VT群)と有さない群(非VT群)で比較検討した。また造影CTによる心筋の繊維化の有無とLPとの関係についても検討した。

【結果】LP陽性率はVT群で6例中3例(50%)、非VT群で8例中1例(12.5%)であった。一方、心筋の繊維化を有する群は6例中3例(50%)、有さない群では8例中1例(12.5%)であった。

【考察】今回の検討で心肥大では、VTを有する例や心筋の繊維化を有する例でLP陽性の傾向が認められた。このことから、心筋変性の強い心肥大においてはVTのリエントリーの誘因となる電気的緩徐伝導路が存在する可能性が示唆された。

連絡先 043-222-7171(内線6305)